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2022 Fiscal Year Research-status Report

ドラッグ・リポジショニングを活用した大腸がん化学療法に伴う有害事象の回避法の確立

Research Project

Project/Area Number 20K07198
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

川尻 雄大  九州大学, 薬学研究院, 助教 (30621685)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 小林 大介  九州大学, 薬学研究院, 講師 (00403973)
Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords抗がん薬 / 末梢神経障害 / 手足症候群 / オキサリプラチン / カペシタビン / ドラッグ・リポジショニング / プロトンポンプ阻害薬 / がん化学療法
Outline of Annual Research Achievements

2021年度までに、オキサリプラチンの末梢神経障害に対しては対症療法薬の候補として疎経活血湯が、予防薬の候補としてアミノ酸製剤シスチン・テアニンおよびプロトンポンプ阻害薬が、カペシタビンの手足症候群に対しても、オメプラゾールなどのプロトンポンプ阻害薬が抑制効果を有する可能性が、それぞれ基礎研究と医療情報データベースの解析で明らかとなっている。
2022年度は、主にプロトンポンプ阻害薬のオキサリプラチン誘発末梢神経障害に対する抑制作用についての臨床調査研究を進めた。目標患者1000例に対して、2009年1月から2019年12月までに九州大学病院においてオキサリプラチンの投与を開始した1180名の患者のカルテ情報を収集し、中間解析を行った。末梢神経障害の発現や末梢神経障害によるオキサリプラチン中止と累積投与量とのそれぞれの関係についてKaplan-Meier曲線を作成し、末梢神経障害に影響を与えると報告されている年齢、性別、治療レジメンなどの因子を多変量として組み込んだCox比例ハザード分析を行った。その結果、プロトンポンプ阻害薬の併用群においてany gradeの末梢神経障害の発現(ハザード比[95%CI]=0.786[0.658-0.939]、P=0.008)および末梢神経障害によるオキサリプラチンの中止(ハザード比[95%CI]=0.569[0.350-0.925]、P=0.023)が有意に少ないことが明らかとなった。また、プロトンポンプ阻害薬の種類ごとに解析を行うと、オメプラゾール及びエソメプラゾール併用患者において、末梢神経障害の発現やそれによる治療中止が顕著に少なかった。以上のように、臨床においても、プロトンポンプ阻害薬がオキサリプラチンによる末梢神経障害に対して抑制効果を示す可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

大腸がんの化学療法の有害事象のうち、カペシタビンの手足症候群に対してプロトンポンプ阻害薬が抑制効果を有する可能性が基礎研究と医療情報データベースの解析で明らかとなっている。また、オキサリプラチンの末梢神経障害に対しては、対症療法薬の候補として疎経活血湯が、予防薬の候補としてアミノ酸製剤シスチン・テアニン、プロトンポンプ阻害薬がそれぞれ基礎研究で同定された。プロトンポンプ阻害薬については、医療情報データベースの解析においても、オキサリプラチン末梢神経障害の報告を少なくする可能性が示された。さらに、プロトンポンプ阻害薬は、臨床における後方視的研究の中間解析においても、オキサリプラチンの末梢神経障害の発現や末梢神経障害による治療中止を有意に抑制していることも明らかとなった。これらの成果はすでに論文7報や学会等で公表している。
これらの状況を鑑みると、予定していた計画と比較しても概ね順調に進行していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

2022年度まで概ね計画通り進行しているため、2023年度も当初の経過通り、研究を推進する方針である。引き続き、オキサリプラチンの末梢神経障害に関しては、動物・細胞モデルをもちいた神経障害の発現メカニズムの解明とそのメカニズムに基づいた改善薬の探索を行う。同時に、臨床における診療録の後方視的調査研究を継続を行い、臨床的エビデンスの構築を行う。最新の報告や臨床状況の変化等も反映しながら、適宜軌道修正をしながら進行していく予定である。

Causes of Carryover

予定していた物品の納入遅延のため、1,781円の次年度使用額が生じた。翌年度の請求額と合わせて予定通り使用する。

  • Research Products

    (5 results)

All 2022

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 2 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 2 results)

  • [Journal Article] Omeprazole Suppresses Oxaliplatin-Induced Peripheral Neuropathy in a Rodent Model and Clinical Database2022

    • Author(s)
      Mine Keisuke、Kawashiri Takehiro、Inoue Mizuki、Kobayashi Daisuke、Mori Kohei、Hiromoto Shiori、Kudamatsu Hibiki、Uchida Mayako、Egashira Nobuaki、Koyanagi Satoru、Ohdo Shigehiro、Shimazoe Takao
    • Journal Title

      International Journal of Molecular Sciences

      Volume: 23 Pages: 8859~8859

    • DOI

      10.3390/ijms23168859

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Inhibitory Effect of α1 Receptor Antagonists on Paclitaxel-Induced Peripheral Neuropathy in a Rodent Model and Clinical Database2022

    • Author(s)
      Mori Kohei、Kawashiri Takehiro、Mine Keisuke、Inoue Mizuki、Kudamatsu Hibiki、Uchida Mayako、Egashira Nobuaki、Kobayashi Daisuke、Shimazoe Takao
    • Journal Title

      Toxics

      Volume: 10 Pages: 669~669

    • DOI

      10.3390/toxics10110669

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] がん化学療法における臨床的課題を解決するための基礎研究2022

    • Author(s)
      川尻 雄大
    • Organizer
      第32回 日本医療薬学会 年会
    • Invited
  • [Presentation] 大規模医療情報を活用したがん化学療法に伴う副作用の軽減・回避のための研究2022

    • Author(s)
      川尻 雄大
    • Organizer
      第43回 日本薬学会 九州山口支部コロキウム
    • Invited
  • [Presentation] オキサリプラチン誘発末梢神経障害に対するオメプラゾールの抑制効果2022

    • Author(s)
      峯 圭佑、川尻 雄大、井上 瑞季、小林 大介、森 皓平、久田松 韻生、内田 まやこ、江頭 伸昭、小柳 悟、大戸 茂弘、島添 隆雄
    • Organizer
      第15回 日本緩和医療薬学会 年会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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