2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of spray formulation that enable non-invasive transdermal delivery of nucleic acid with non-lamellar liquid crystal.
Project/Area Number |
20K07204
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
藤堂 浩明 城西大学, 薬学部, 准教授 (10383184)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 経皮透過 / 核酸医薬 / 透過促進 / 製剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
角層は、非常に高いバリア能を有していることから、分子量500 以上の物質の透過は著しく低く、分子量1000以上の核酸の皮膚透過性を改善するためには、透過促進技術の開発が必須となる。本研究では、モデル核酸としてNF-κBデコイオリゴヌクレオチド(NFκB デコイオリゴ)を用い、マイクロニードルに匹敵する透過促進能を有し、広範囲にかつ簡便に使用可能な皮膚適用スプレー製剤の開発を行った。 まず、NFκB デコイオリゴと同程度の分子量を有する中分子モデル薬物として、平均分子量10,000のFITC-dextran(FD-10)の透過性を高めるスプレー製剤の処方設計を行った。両親媒性脂質を吸収促進剤として選択し、スプレー製剤を調製した結果、FD-10の皮膚透過性を著しく改善することができた。一方、スプレー分散媒を用いず調製した製剤は、FD-10の皮膚透過促進効果が確認できたものの、その透過促進効果はスプレー製剤と比較して低下した。FD-10の皮膚透過促進効果は、角層バリア機能を担うラメラ構造(直方晶や六方晶)やケラチンマトリックスに作用することが、in vivo共焦点ラマン顕微鏡を用いた試験結果より明らかとなった。 次に、蛍光標識したNFκB デコイオリゴを含有するスプレー製剤を調製し、健常皮膚を介した皮膚透過促進効果を評価した。FD-10と同様に、促進効果を確認することができた。また、製剤適用後、経時的に蛍光標識したNFκB デコイオリゴの皮内分布を評価したところ、水溶液やゲル製剤と比較して、皮膚浸透が短時間で確認できた。興味深いことに、スプレー製剤を角層除去皮膚に適用しても、吸収促進剤を未含有の水溶液と比較してNFκB デコイオリゴの皮膚浸透促進効果は認められなかった。現在、皮膚炎を誘発させたマウスを用いてNFκB デコイオリゴ含有スプレー製剤の有効性を評価中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目の計画案を下記に示す。
In vitro皮膚透過試験: FITC標識したNFκB デコイオリゴを用い、ヒト皮膚透過性および浸透性評価を行う。 効果試験:ヘアレスマウス(Male C57BL/6 mice)に12-O-テトラデカノイルホルボール 13-アセタート (TPA)を用いて皮膚炎を誘発させ、NFκB デコイオリゴ含有スプレー製剤の有効性を評価する。また、TNF-α mRNAの発現に及ぼす製剤処方の影響について評価し、FITC標識NFκB デコイオリゴの皮内移行性との関係性を明らかにする。 製剤中および皮内移行NFκB デコイオリゴの安定性評価:製剤中のNFκB デコイオリゴの安定性を電気泳動法にて確認する。 上記計画の内、製剤中のNFκB デコイオリゴの安定性評価が未達であるものの、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
効果試験の評価を行い、十分な効果が得られない場合には、Tat ペプチドなどの細胞透過性ペプチド等を製剤に添加し、効果増強を図る。また、製剤中の安定性について評価する。 皮膚透過量および皮膚中濃度を測定し、NFκB デコイオリゴの生物学的利用率の算出を行い、効果の結果と合わせて、スプレー製剤の有用性を明らかにする。また、皮内分布を明らかにすることで、NFκB デコイオリゴの皮膚浸透ルートを明らかとし、核酸医薬の軽適用製剤化の可能性について検討する。
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