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2022 Fiscal Year Research-status Report

肝OATP内在性基質の体内動態メカニズム解析による生理学的薬物速度論モデルの確立

Research Project

Project/Area Number 20K07209
Research InstitutionYokohama College of Pharmacy

Principal Investigator

吉門 崇  横浜薬科大学, 薬学部, 准教授 (70535096)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 杉山 雄一  国立研究開発法人理化学研究所, 科技ハブ産連本部, 特別招聘研究員 (80090471)
Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywordsトランスポーター / 内在性基質 / 薬物相互作用 / 生理学的薬物速度論モデル / バイオマーカー
Outline of Annual Research Achievements

肝臓に発現するorganic anion transporting polypeptide 1B1/1B3 (OATP1B1/1B3) はアニオン性薬物の肝取り込みを担っており、多くの薬物間相互作用(DDI) に関与することから創薬および臨床で重要視されている。本研究では、DDIを予測するためのバイオマーカーになり得るOATP1B内在性基質の一つ、ヘム生合成の中間代謝物であるコプロポルフィリン(CPs)に着目し、精緻な生理学的薬物速度論(PBPK)モデルを構築することでDDI予測に役立てる方法論を確立する。令和4年度は、複数の臨床データ(CP-I血中濃度推移)を矛盾なく説明可能なPBPKモデルのパラメータセットを得るために、強力なパラメータ推定法である Cluster Gauss-Newton Method (CGNM)を用いた解析を実施し、論文化した(Yoshikado et al. CPT-PSP 2022)。CGNMは、パラメータ初期値の範囲を設定して多数のパラメータセットを発 生させて計算を開始し、候補解を得ることができる。OATP1B阻害薬リファンピシン(RIF)によるCP-Iへの影響を明らかにした2つの臨床試験における血中濃度データを解析し、DDIを説明する上で本質的なパラメータ(CP-Iの肝固有クリアランスと生合成速度、RIFによるOATP1B阻害定数)を見出した。また、別のグループが報告したインド人のデータ(Lai et al. JPET 2016)を解析して同様の結果が得られることを示し2022日本臨床薬理学会にて発表した。さらに、前臨床から臨床へのCP-I体内動態解析結果の橋渡しのため、カニクイザルのデータをPBPK-CGNMで解析したところ(2023日本薬剤学会にて発表予定)、ヒトと近い範囲で得られたパラメータを見出すとともに、種差の存在も示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

CGNM解析により、2つの自主臨床試験に加えて別グループの臨床試験で報告されたCP-I血中濃度推移を矛盾なく説明可能なパラメータセットを得ることができた。狭い範囲で得られたパラメータがある中で、広い範囲で得られた(一見すると定まらない)パラメータもあったが、個々のパラメータセットは血中濃度推移を良好に再現していることから、どれを使っても現状DDI予測が可能である。このように、必ずしも一意に定まらないパラメータがあってもrobustなPBPKモデルを作れる点でCGNMには優位性があり、今後多くの内在性基質を用いたDDI予測を行う上で重要な手法になると期待される。また、カニクイザルのデータをCGNMで解析することを試みており、複数のデータを統一した方法で解析可能な手法を見出した。現在、カニクイザルにおけるRIF存在・非存在下における血中濃度推移以外に、肝臓内濃度や重水素標識CP-I投与群における血中濃度推移も含めた解析を進めている。最後に、CP-I体内動態へのMRP2の寄与等は、上記CGNMを用いた血中濃度解析でも明らかにならなかったことから、mrp2欠損ラット(EHBR)を用いた解析が有用であると考え、動物試験 (CP-IもしくはCP-IIIを投与するマスバランス試験)を実施した。測定した血中および肝臓中濃度、胆汁排泄量を PBPK-CGNMで解析し、全てのデータを統一的に説明可能な手法を見出した。さらに、in vitroでmrp2と肝細胞から血管側へのbackfluxを担うmrp3, mrp4の発現量を確認(SDS-PAGE、ウエスタンブロット)し、EHBRにおいてmrp3, mrp4とも発現亢進していたが個体差がかなりあることが分かった。CP-I, CP-IIIの輸送活性測定(ベシクル実験)も進めている。

Strategy for Future Research Activity

CP-IおよびCP-IIIの詳細な体内動態を明らかにするためのラットを用いたマスバランス試験結果のPBPKモデル解析においては、血中および肝臓中濃度、胆汁および尿中排泄量を同時に説明可能なパラメータセットを見出す必要があり、CGNMを適用することで全てのデータを統一的に説明可能と考えている。EHBRにおいては 肝臓内→血中へのbackflux(MRP3およびMRP4等による)が亢進している可能性が考えられる。ラット肝臓におけるタンパク質発現量の精査を行った上で、CGNM上でmiddle-out解析(in vitroのパラメータ実験値を、血中濃度データ等と併せて参照値として用いる)を開始している。Middle-out解析を行うことにより、ばらつきの大きい動物実験データの中で、個体差を考慮しながら包括的に解析できると考えている。また、CP-I, IIIの生合成に関わる代謝酵素(UROD等)のin vitro試験系を構築する上で、URODの直接的な基質となるuroporphyrinogenが必要となるが、Uroporphyrinを還元してuroporphyrinogenを得る手法(Pd/C還元法)については報告されていたことから、化学系研究室に協力してもらい合成した。今後UROD代謝を評価する試験系に最適な形で取り入れて検討を進める。さらに、RIFの反復投与によるOATP1Bの誘導はin vitro実験の結果からは論争の的となっているが、既に複数の臨床データ(RIF反復投与によるOATP1B誘導が原因で、CP-I血中濃度がOATP1B阻害時より低下することが疑われる事例)を収集することで解析を進めており、in vitroの報告と併せることは本研究課題の推進方策として適切であると考えられる。

Causes of Carryover

令和3年度に続いて令和4年度も新型コロナウイルス感染拡大防止により、研究機関(横浜薬科大学)における実験の実施に制限が生じた。そのため、コンピュータを用いた解析(PBPKモデル解析)を重点的に実施したことにより、物品費としての使用が抑えられた。また、学術学会は年度前半までオンラインで参加し、後半に現地開催の学会があったため、出張費も抑えられた。次年度は、in vitro実験(動物の肝細胞やトランスポーター発現膜ベシクルを用いた実験)を多数実施しデータを取る予定であることから、これらを実施可能な物品費を計上する。また、本研究課題の成果報告を複数の学会(国内および国外)で行う予定であるため、これらの旅費を計上する。併せて論文の英文校閲および投稿費用(オープンアクセス費用を含む)も計上する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 2 results)

  • [Journal Article] Cluster Gauss-Newton method analyses of PBPK model parameter combinations of coproporphyrin-I based on OATP1B-mediated rifampicin interaction studies.2022

    • Author(s)
      Yoshikado T, Aoki Y, Mochizuki T, Rodrigues AD, Chiba K, Kusuhara H, Sugiyama Y.
    • Journal Title

      CPT Pharmacometrics Syst Pharmacol.

      Volume: 11 Pages: 1341-1357

    • DOI

      10.1002/psp4.12849

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 肝トランスポーターを介した薬物相互作用のバイオマーカーを用いた予測―新しい計算科学に基づいた生理学的薬物速度論モデル構築による予測法の提案2022

    • Author(s)
      吉門崇
    • Organizer
      日本薬剤学会第37年会
    • Invited
  • [Presentation] Proposals for predicting drug efficacy/safety based on the estimation of intracellular concentrations; from the perspective of in vitro experiments- and modeling-based pharmacokinetic analyses2022

    • Author(s)
      Takashi Yoshikado
    • Organizer
      37th JSSX Annual Meeting
    • Int'l Joint Research / Invited
  • [Presentation] 肝OATP1B内在性基質であるコプロポルフィリンIの体内動態解析―PBPKモデルを用いた包括的解析2022

    • Author(s)
      葛西 航貴,吉門 崇,千葉 康司
    • Organizer
      第43回日本臨床薬理学会学術総会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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