2021 Fiscal Year Research-status Report
実臨床におけるファーマコゲノミクスデータベースを活用した個別化投与設計指針の構築
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20K07211
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平 大樹 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (50636959)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 個別医療 / ファーマコゲノミクス / 遺伝子多型 / 薬物動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬物の治療効果や副作用の個人差の原因のひとつとして、薬物を分解する酵素や薬物輸送担体の遺伝子変異が知られている。このような遺伝子変異に基づいて薬物の種類や投与量を決定するファーマコゲノミクス (PGx) に関して、数多くの臨床研究が行われているものの、臨床での応用は十分に進んでいるとは言い難い。そこで本研究では、当施設で収集しているPGxデータベースを活用し、実臨床における種々の薬物の治療効果や副作用に与える遺伝子多型の影響を解析する。 特に本研究では、鎮痛薬トラマドールや免疫抑制薬アザチオプリンを対象として、実臨床の患者を対象としたPGx検査データベースを用いた解析を行い、日本人における個々の患者に合わせた投与方法の確立を目指している。 今年は、鎮痛薬トラマドールについて、PGxデータベースと診療録のレトロスペクティブ解析を行い、日本人で変異割合の高い遺伝子変異により、治療効果に差が生じる可能性を見出した。この結果は論文作成中である。また、これらの結果を踏まえて、肝がん切除後患者を対象とした薬物動態/薬力学/薬理遺伝学的研究に展開し、患者の導入をすすめるとともに、トラマドール及び主要代謝物の血中濃度測定法の確立を行った。他にも、免疫抑制薬アザチオプリンについて、TaqMan PCR法に基づくNUDT15遺伝子多型測定法を構築し、患者検体の測定を行った。さらに、診療録のレトロスペクティブ解析を実施し、結果を論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、PGxデータベースと診療録に基づくレトロスペクティブ解析の結果を論文投稿できており、さらにそれらの結果に基づいた新規研究が展開できていることから、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、現在実施しているPGxデータベースと診療録に基づくレトロスペクティブ解析とプロスペクティブ観察研究を進める。現時点では、目標症例数の確保に支障はないものの、不測の事態により目標症例数に到達できない場合には、可能な限り収集できた情報での解析を行うことで確実に成果に結びつく研究計画を遂行する。
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Causes of Carryover |
一部の検体の測定が2022年度にずれ込んだため、必要な試薬を2022年度に購入する予定であるため。
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