2020 Fiscal Year Research-status Report
Construction of a system for determining the difficulty of medical terms in patient documents
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20K07213
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
松野 純男 近畿大学, 薬学部, 教授 (30299094)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 患者向け文書 / 難解 / Webクイズ |
Outline of Annual Research Achievements |
「患者向け文書」の多くに、医療専門職しか理解できないような難解な単語や文章が散りばめられていることが多い。本研究の目的は、このような文章を一般の方が理解できるような平易な文章に改めて、一般の方が治療内容を平易に理解できるようなシステムの構築を目指す。 2020年度は上記の「患者向け文書」などから医療専門用語と思われる単語を約160語ピックアップし、その意味に関する三択のクイズをWeb上で構築し、オンライン上で公開した。このクイズに対して「医療専門職」「医療系学生」「一般の方」の3カテゴリーに分類し、不特定多数の人にクイズに回答をいただいた。このクイズの結果を元にそれぞれのカテゴリー別での正答率を分析し比較を行った。その中で、一般の方でも正答率の高い単語も多くみられたのに対し、想定外に正答率の低い単語も見受けられた。特にその中でも、医療関係者と一般の方で正答率に大きな乖離のある単語があり、これらが変換ツールにおいて重要な単語群であると抽出することができた。 このようにしてピックアップした単語について、実際に医療機関で用いられているがん化学療法を受ける患者に対する説明パンフレット(web上で公開されているもの)についてハイライト表示すると、多くの単語が検出できることがわかり、説明パンフレットが当該患者が治療方針を理解できていない可能性があることが示唆された。2021年度以降で、このような文書を平易化するための支援ツールを作成予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目的がターゲットとなる単語の収集および評価であったため、ここまでは予定通りの進捗状況である。ただし、次年度以降のシステム開発に向けては、自動的に平易な単語へ置換するためのシステム構築など、困難な課題がある。特に鍵を握るのは変換に使用するシソーラス辞書の構築であり、2021年度の研究はこの辞書構築が主体となる。
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Strategy for Future Research Activity |
シソーラス辞書の構築に当たっては、誤答の多かった単語を中心に言い換えが可能かどうかを精査する必要がある。また、シソーラス辞書に関しては、有料無料の専門単語辞書があるため、それらの中から利用可能なものをピックアップしてシステムに組み込むことを予定している。 最終的にはWeb上での変換ツール公開が目標になるため、プログラミングと辞書構築を並行しながら、利便性のあるツールを作成予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度はコロナ禍において特に人との交流が制限され、病院での患者向け文書に対する情報収集が滞った。また、学会の多くも中止となり、発表機 会が制限された。そのため、2021年度に情報収集を重点的に行い、2022年度に学会や論文発表を集中的に行う予定である。
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