2021 Fiscal Year Annual Research Report
尾部退行症候群の理解に向けた分化決定因子Sox2及びTbx6の発現制御解析
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20K07226
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
下北 英輔 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (70749134)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 尾部退行症候群 / 胚葉形成 / 外胚葉 / 中胚葉 / Sox2 / Tbx6 / Eph |
Outline of Annual Research Achievements |
動物の体づくりが正常に進行するためには、適切に分化した細胞が適切な位置に存在することが重要である。よって細胞分化と細胞挙動との関係を明らかにすることは形態形成を理解する上での本質的な課題となる。 尾部の胚葉形成において、Sox2の発現が優位な細胞は正中組織(主に神経系)の形成に寄与し、Tbx6が優位な細胞は側方組織(中胚葉系)の形成に寄与する。今年度は主に、尾部の分化系統の違いに伴う細胞群の分離(正中に留まるか、側方に移行するか)の仕組みについて調べた。 まず、Tbx6のエンハンサーを用いて、Tbx6の発現が優位な細胞にSox2を異所的に発現させたところ、これらの細胞は側方ではなく正中組織に寄与した。よって、Sox2の下流遺伝子群の中に細胞を正中に留めておく働きを持った遺伝子が存在することが予想された。そこで、細胞分離に関与すると報告されている既知の遺伝子群の発現を調べたところ、Eph遺伝子がSox2を異所的に発現させた細胞で発現上昇していること、また、そのEph遺伝子をTbx6発現優位細胞に異所的に発現させると細胞が正中に留まることを見出した。さらに、これらの細胞が神経系に寄与するのかを調べるために、発生を進め細胞を追跡したところ神経組織には寄与せず尾部の先端に留まり続けた。 以上より、Sox2が優位な細胞ではEphが働くことによって細胞が正中に留まることができるが、神経系の形成に寄与するためには正中に存在するだけでは不十分であり、他のSox2下流遺伝子の働きが必要であることが示唆された。
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