2021 Fiscal Year Research-status Report
高速三次元免疫組織化学法による大脳皮質抑制性介在ニューロンの網羅的形態解析
Project/Area Number |
20K07231
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
山内 健太 順天堂大学, 大学院医学研究科, 助教 (00513079)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 大脳皮質質介在ニューロン / PVニューロン / AAVベクター / 神経細胞形態 / 三次元免疫組織化学 / 組織透明化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、領野普遍的・特異的なパルブアルブミン陽性大脳皮質介在ニューロン(PVニューロン)の形態特徴を明らかにし、疾患と関連したPVニューロン細胞形態異常を探索することを目的としている。上記目的を踏まえ2021年度は以下の研究を実施した。 1) post hoc EMイメージングの開発:組織透明化技術により透明化した標本を光学顕微鏡により観察した後に、その中から標的とした構造を電子顕微鏡により観察を行う技術開発に成功し、論文報告を行なった(Furuta, Yamauchi et al., iScience: 2021)。具体的には、電子顕微鏡観察に耐え得る組織透明化技術(ScaleSF法)を確立し、光学顕微鏡、電子顕微鏡の両方において観察可能なプローブとその染色法(APEX2/BT-GO法)を開発した。開発した技術を用いて、反対側の大脳皮質からのパルブアルブミン陽性介在ニューロンへのシナプス入力の解析を行なった。 2)PVニューロンを特異的に標識するAAVベクターの開発:昨年度にPVニューロン特異的に分子発現を誘導するエンハンサー領域(PVニューロンエンハンサー)が報告された(Vormstein-Schneider et al., Nat Neurosci; 2020)。実験効率向上を目的に、PVニューロンエンハンサーの制御下で膜移行シグナルを付加した蛍光タンパク質を発現するAAVベクターの設計、作成し、その評価を行なった。また、PVニューロンエンハンサーの制御下においてCre recombinaseを発現するAAVベクターの設計、作成も行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度にまでに計画していた研究項目の大半を実施することができた。とりわけ2021年度は、観察した透明化標本をの中から、標的とした構造を電子顕微鏡により観察するpost hoc EMイメージングの技術開発に成功し、その内容を論文報告した(Furuta, Yamauchi et al., iScience: 2021)。 PVニューロンの標識に、PV-Creマウスを用いる方法に加えて、PVニューロンエンハンサーの制御下で目的とする遺伝子を発現するAAVベクターを導入した。導入したAAVベクターの評価は順調に行えている。形態再構築したPVニューロンの分子発現解析は、透明化、観察を行なった脳スライスから凍結切片を作成し、作成した切片上において免疫染色を行うpost hoc IHC法により解析可能であることがわかってきた。そのため、研究当初に計画していた、透明化したスライスから作成し切片においてin situ hybridization (ISH)を行う post hoc ISH法の開発を一時的に中断している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発した複数のPVニューロン標識法の中で、いずれの方法が最も効果的かつ効率的であるのかを疾患モデルマウスを用いて確かめる。2021年度までに確立した技術を用いてPVニューロンの細胞形態描出を推し進め、研究目的の達成を目指す。現在、開発を一時中断しているpost hoc ISH法は、post hoc IHC法では解析不能な分子が現れるような事態が生じた場合、同法の開発を再開させる。
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Causes of Carryover |
学会へのオンライン参加により学会旅費への支出がなくなったため。次年度に繰り越した助成金は研究遂行に必要な実験消耗品に使用していく。
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Research Products
(11 results)