2022 Fiscal Year Annual Research Report
視交叉上核における明暗環境変化に対する光入力の制御機構の解明
Project/Area Number |
20K07234
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
長野 護 近畿大学, 医学部, 准教授 (80155960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鯉沼 聡 近畿大学, 医学部, 講師 (10340770)
筋野 貢 近畿大学, 医学部, 助教 (30460843) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 視交叉上核 / 概日時計 / 短周期領域 / 長周期領域 / Syt17 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の概日時計の中心は視床下部の視交叉上核(SCN)に位置する。多くの研究により、SCN内には異なる概日周期を生み出す複数の領域が存在することが示唆されているが、その正確な局在は解明されていない。本研究では、Per2遺伝子の制御エレメントで駆動されるルシフェラーゼレポーター遺伝子(Per2::dLuc)を持つトランスジェニックラットのSCNの水平スライス培養における周期長の異なる領域の同定を行なった。その結果、Caudal medial region(短周期領域:SPR)とRostro-lateral region(長周期領域:LPR)が、それぞれ24時間より短い周期と長い周期の概日リズムを生成していることが判明した。また、VIP遺伝子発現ニューロンが密集するSCNのコア領域はLPRの一部を覆っており、SCNのシェル領域はSPRとLPRの残りを含んでいることが明らかとなった。さらに、SCNにおいて、周期長の異なる領域間で、どのように同期がとれているかを検討し、吻側領域の長周期領域が尾側領域の概日リズムを同調させることが明らかとなった。 マウスSCNにおけるシナプトタグミン(syt)17の局在と機能について検討した。Syt17 遺伝子発現ニューロンは主にシェル領域に位置し、SYT17免疫陽性細胞体や神経線維はSCNのコアとシェル、そして脳室下帯(SPZ)で観察された。さらに、電子顕微鏡による解析では、神経細胞の粗面小胞体(rER)、ゴルジ装置(G)、大小の小胞にSYT17が存在することが明らかとなった。SCNにおけるSyt17 遺伝子発現は概日リズムを示し、夜間の光照射で遺伝子発現が抑制された。また、Syt17欠損変異マウスでは、運動活動リズムの自由走行期間が短縮された。これらのことから、Syt17が概日リズムの制御に関与していることが示唆された。
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