2023 Fiscal Year Annual Research Report
Analyses of the mechanism of neurodegeneration in the brain by organic arsenic compounds-focusing on DNA methylation
Project/Area Number |
20K07240
|
Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
増田 知之 目白大学, 保健医療学部, 教授 (70372828)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
文東 美紀 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (00597221)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 有機ヒ素 / 神経変性疾患 / DNAメチル化 / 網羅的遺伝子発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ジフェニルアルシン酸(DPAA)は自然界に存在しない有機ヒ素化合物である。DPAAに曝露した住民の脳を調べたところ、海馬が萎縮するとともに脳血流も低下しており、DPAAが長期に亘って脳に留まった結果、神経変性が進行したと推測される。しかしながら、DPAAがどのような分子機序で脳でのTau発現を亢進し、神経変性をもたらすか不明である。 脳はDNAメチル化の主要ターゲットであり、脳内のDNAメチル化は「環境」に応じて変化し、脳活動に大きな影響を及ぼす。本症例でもDPAAへの曝露によって脳内のDNAメチル化に変化が生じ、遺伝子発現のオン・オフが切り替わった結果、神経変性に至った可能性が高い。そこで、本研究ではDPAA(1 mg/kg/day)投与後の非ヒト霊長類(カニクイザル)の脳組織を経時的に(投与5・29・170・339日後)サンプリングし、イルミナ社のアレイによって、そのゲノムDNA内のメチル化サイトを網羅的に検出する。以上の解析によって、DPAAによる脳の神経変性機序を分子レベルで明らかにすることを目的とする。 最終年度はDPAA投与後のカニクイザル脳の4つの領域(後頭葉、小脳、側頭葉内側部、側頭葉外側部)から抽出したRNAを用いてRNAシークエンシングを行い、網羅的な遺伝子発現解析を行い、側頭葉内外側部については全データが揃った。同発現データを解析したところ、どの投与群においてもミクログリアの活性低下が際立っていた。 研究期間全体を通して、メチル化変動および遺伝子発現いずれにおいても、側頭葉内外側部におけるプロフィールが他の脳領域と比較して大きく異なることが判明した。
|