2021 Fiscal Year Research-status Report
小脳失調症を示すpcdマウスの細胞種特異的機能解析とその治療法の探索
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20K07242
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
周 麗 新潟大学, 研究推進機構, 特任助教 (80568410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 望 新潟大学, 研究推進機構, 助教 (20708375)
竹林 浩秀 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60353439)
中務 胞 新潟大学, 脳研究所, 助教 (60641579) [Withdrawn]
崎村 建司 新潟大学, 脳研究所, フェロー (40162325)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ペランパネル / Nna1null / Nna1PC cKO / ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
4-6週齢の発症後のNna1 nullマウスに対し、小脳におけるプルキンエ細胞の脱落とミクログリア細胞の活性化が見られる。Nna1 プルキンエ細胞特異的なcKOマウスの小脳においても同様な神経細胞の異常活動を見出された。プルキンエ細胞を中心とした入力する橋核及びプルキンエ細胞から出力する小脳核、赤核の変化をc-fosのin situ hybridyzationで調べた結果、運動失調がすでに発生した生後5週齢、残存のプルキンエ細胞、赤核,橋核におけるc-fosの発現上昇がNna1nullマウスとNna1PC(Purkinje Cell)cKOマウスに確認された。 2017年に、グルタミン酸受容体拮抗薬であるペランパネルの経口投与により、グルタミン酸過剰発現神経疾患のマウスモデルの症状が改善したという論文が報告された(Sugiyama et al. J Neuroscience 2017 8830-8844)。 そのために、pcdマウスと同じ表現型を示したNna1nullもしくはNna1PCcKOマウスを使用し、早期に経口投与する試みをした。小脳におけるミクログリア細胞の活性化を有効に防ぐことができたが、プルキンエ細胞死を防ぐことが出来なかった。緩和効果が示された。脳内投与の負担を考えて、今後経口投与のペランパネルは治療薬の候補として検討できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Nna1/CCP1遺伝子の導入による発症前のpcdマウスの予防・治療は初めての試みであり、Nna1による神経細胞の恒常性維持の分子メカニズムやNNA1の欠失によるヒト神経変性疾患の治療法の確立に向けた基礎となる。まず薬剤投与によるpcd病態への治療法の探索を行った。 プルキンエ細胞脱落前の幼若期を対象に、負担のない経口投与を最初に試してみた。pcd小脳におけるミクログリア細胞の活性化を抑えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
①発症前のNna1 PC cKOあるいはNna1nullマウスに対し、実績があるAdenoassociated virus(AAV)随伴ウイルスに CCP1(Nna1)全長遺伝子をδ2(プルキンエ細胞)及び全身(CAG)プロモーターの下流に挿入する。P18 からP20の間に皮質より注入し、その後2週間ずつ運動失調と運動学習を調べる。 ②発症後のマウスに対し、c-fosの異常活性化はプルキンエ細胞を中心とした入力系と出力系の神経細胞に確認された、それを抑えるために、抑制性神経伝達物質のGABAアゴニストを選択肢の一つと考えられる。脊髄小脳変性症(SCA1)に関する研究は、GABAアゴニストのバクロフェン(J Physiol. 2017)は治療効果が認められたため、バクロフェンを生後4週齢から脳内へ注入し、運動失調の改善を期待する。
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