2022 Fiscal Year Annual Research Report
新しい遺伝子改変マウスを用いた脳神経小胞でのV-ATPaseの機能解析
Project/Area Number |
20K07243
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
青戸 一司 浜松医科大学, 医学部, 助教 (60360476)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | てんかん性脳症 / ATP6V0A1 / V-ATPase / シナプス小胞 / リソソーム / CRISPR-Cas9ゲノム編集 / ヒト疾患モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度はエピトープノックインマウスの作製課題において、i-GONAD法を用いてエピトープタグを挿入する方法を確立した。この方法を用いてAtp6v0a1のC末に3xHAを挿入したノックインマウスを作製した。HA抗体を用いた脳のサンプルのウェスタン・ブロットでAtp6v0a1-3xHAの発現を確認できた。 研究機関全体として、てんかんを示す発達性およびてんかん性脳症の4家系の患者で、ATP6V0A1の変異を同定した。ATP6V0A1変異遺伝子を発現させた培養細胞では、プロトンポンプ機能の異常によるリソソームの酸性度の異常が観察された。さらに、A512Pホモ変異マウスは、生後すぐに体重減少、小脳性運動失調がみられ、2週間以内に致死となった。この新生児マウスの大脳皮質、海馬、小脳では、神経細胞の減少、層構造異常が観察された。組織学的、生化学的解析では、Atp6v0a1タンパク質の発現減少、海馬の神経シナプス結合の減少、神経細胞の細胞死の増加、活性を持ったリソソーム酵素の減少、V-ATPaseと関連して細胞増殖に働くmTORシグナルの減少が見られた。また、細胞内のタンパク質を分解するのに重要なオートファジーの過程では、リソソームは、細胞内の老廃物や不要物を取り込んだオートファゴゾームと癒合して分解する。電子顕微鏡による微細構造観察では、生後10日齢の新生児マウスの海馬神経細胞では、癒合不全によるオートファゴゾームとリソソームの蓄積が観察された。以上の結果から、ATP6V0A1変異を持った患者の脳神経細胞では、V-ATPの機能異常により、リソソーム内のプロトン濃度が減少し、リソソームの生理的機能が異常をきたし、mTORシグナルの減少による細胞増殖低下、オートファゴゾームとの癒合不全によるオートファジーの異常の蓄積、活性を持ったリソソーム酵素の減少が起こったと考えられた。
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Research Products
(6 results)