2020 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of molecular basis underlying the membrane fusion between myoblasts.
Project/Area Number |
20K07244
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
亀高 諭 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (10303950)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 筋分化 / 筋管形成 / 細胞融合 / 膜融合 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス培養筋芽細胞C2C12を用いて、筋分化、筋修復過程における細胞膜融合メカニズムの分子機構を明らかにする目的で、NanoLuc Luciferase由来のLgBiT、HiBiT断片(プロメガ社)に蛍光タンパク質を付したキメラ分子を発現するためのベクター系を作製し、これらを導入したC2C12細胞を準備し、筋分化に伴う細胞融合をルシフェラーゼ活性により検出する新規アッセイ法、HiMy assay (HiBiT-dependent myogenic cell fusion assay)法を開発した。HiMy法を用いて筋芽細胞の融合過程に関わる分子群を網羅的に明らかにするため、ハイスループットアッセイに先立ちパイロット実験として、各種インヒビター(酵素群、シグナル伝達分子、膜輸送関連経路等に対する特異的阻害剤)約30種類を用いてHiMyアッセイを行った。その結果、筋分化促進に関わることがすでに示されているコレステロール合成経路についてはその関与について再現性を示す結果が得られた。さらに、他の脂質合成経路や、細胞内膜交通経路などこれまで筋分化との関連が報告されていない分子群が筋分化に関わることが新たに示唆された。これら新規知見に関してはその生理的意義に関してさらに解析を進めている。 また近年、C2C12細胞の筋分化に伴いリン酸化状態が変化する蛋白質が網羅的に解析された。その中で見出されたSorting Nexin 9 (SNX9)はBARドメインを有する蛋白質であり、様々な細胞膜に局在する蛋白質の細胞内輸送に関わっていることから膜融合に関わる分子群の輸送を介して筋芽細胞融合を制御している可能性が考えられた。SNX9のノックダウンにより筋管形成が著しく阻害されたことからSNX9が筋管形成に必須な機能を有していることが新たに見出された。現在SNX9のさらなる生理機能解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね研究計画に従い結果が出ている。siRNAによるゲノムワイドスクリーニングを行う前のパイロット実験によりアッセイ系の信頼性が確認されると共に、新たな因子が筋芽細胞融合に関わることが示唆された。そのため、当初予定されていたsiRNAライブラリを用いたハイスループットスクリーニングを進める前に、新規因子の生理機能解析を進めている。 さらに、過去のリン酸化蛋白質プロテオミクス研究の結果を精査した結果、エンドソーム-細胞膜で機能するSNX9が筋管形成に必須な因子であることが示唆された。SNX9は筋分化刺激に伴い細胞膜表面にfociを形成し、その後細胞膜から細胞内へと局在を変化させることが分かった。 以上の通り、初年度においていくつかの新規筋芽細胞融合関連候補因子、遺伝子を見いだすことができたため、予定よりもかなり早いペースで遺伝子機能解析をスタートすることができている。一方でゲノムワイドスクリーニングに関しては準備が遅れており、現時点では初年度で見出した因子、遺伝子の解析を進めるとともにsiRNAライブラリを用いたスクリーニングの準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
阻害剤プールを用いたパイロット実験により見出された知見は、細胞内膜交通が筋芽細胞融合に深く関与していることを示唆しており、さらなる細胞生物学的、生化学的解析を進めることが必要と考える。また、siRNAライブラリを用いた解析をスタートさせ、関連遺伝子の探索を行う。 また、先に見出したSNX9に関してはC2C12細胞を用いてCRISPR/cas9システムによるゲノム編集法によりノックアウト細胞を構築し、SNX9の筋分化における機能を確認するとともに、マウス骨格筋への遺伝子導入システムにより、生体骨格筋においてshRNAベクターを用いたノックダウンを行い、筋障害からの筋修復過程におけるSNX9蛋白質の重要性について検討する。
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Causes of Carryover |
年度末に使用予定であった試薬の納期が大幅に遅れたため、年度内の予算消化に至らなかった。次年度早期に使用する。
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Research Products
(1 results)