2020 Fiscal Year Research-status Report
新発見された細胞死の誘導機構と生命現象における役割の解明
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20K07247
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
江頭 恒 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 准教授 (40359964)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 細胞死 / 活性酸素種 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大気圧下で低温プラズマを照射した溶液を用いることによって明らかにされた「これまで知られていない新しい様式の細胞死(スポトーシス)」が誘導される分子機構と生命現象に果たす機能的役割を解明することを目的としている。私の研究グループは最近、大気圧下で低温プラズマを照射した溶液の作用によって、アポトーシスなどの既知の様式とは異なる未知の様式で誘導される細胞死を発見した。しかし、この新規の細胞死がいかにして誘導され、また生体においていつ、どこで、何のために機能するかについては不明である。そこで、本研究では分子、細胞、及び個体レベルでの解析を実施し、必要に応じて機能する新しい様式の細胞死が細胞に備わっていることを証明する。計画している具体的な研究内容は、Ⅰ.新しい様式の細胞死が誘導される分子機構の解明と、Ⅱ.この細胞死が生命現象に果たす役割の解析を行うことである。 2020年度は、スポトーシスがいかにして誘導されるかを解析した。その結果、特異的な活性酸素種を産生する化合物を用いて、スポトーシスを誘導する活性酸素種を特定した。2種類の活性酸素種が作用して翻訳抑制因子Pdcd4の消失や膜透過性の増大、小胞の形成などの特徴的なイベントを伴うスポトーシスを誘導することが示唆された。また、これまで用いてきた大気圧下で低温プラズマを照射した溶液と同様に、2020年度の研究で見出された化合物を用いることでスポトーシスが誘導されることが分かり、がん治療などに汎用化できるものと考えられた。 今年度の研究成果については、現在、論文発表準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規の細胞死、スポトーシスを誘導する分子機構の端緒を開くことができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、スポトーシスの誘導機構をさらに解明することに加え、スポトーシスの生物学的役割と存在意義を理解するために、当初の計画通り、解析を進める。 すなわち、スポトーシスを誘導する活性酸素種がいかにして翻訳抑制因子Pdcd4を消失するか、膜透過性を増大させるか、小胞を形成させるかを調べる。また、生体においていつ、どこで、何のためにスポトーシスが機能するかを調べる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で、予定していた学会参加などの旅費や遂行できない研究内容などもあり、予算を使うことが無かったため。 2021年度には、研究の大幅な進捗のために、有効に予算を使う予定である。
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Research Products
(3 results)