2023 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素シグナルを感知する下垂体前葉細胞の同定と内分泌機能の制御機序の解明
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20K07249
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
藤原 研 神奈川大学, 理学部, 教授 (00382945)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 下垂体 / 低酸素 / 細胞機能 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、ラット下垂体腫瘍から樹立されたMtT/SM細胞を下垂体前葉細胞のモデルとして低酸素培養条件の確立し、ラット下垂体前葉から単離した初代培養細胞を用いて正常細胞での低酸素応答遺伝子の同定を行った。その結果、10%酸素濃度で培養することで通常酸素濃度培養よりも2倍以上有意に増加するもしくは減少する遺伝子を同定することに成功した。今年度は、これら遺伝子が下垂体前葉のどのような細胞種で発現しているかをPCR法および組織化学的手法を用いて解析した。発現遺伝子解析プロファイルから増加もしくは減少したトップ20個の遺伝子を選び、PCR用プライマーを設計した。成獣雄ラット下垂体前葉からRNAを抽出し、このRNAを鋳型として逆転写反応によりcDNAを合成し、PCRを行ったところ、著しく発現が高い遺伝子を同定できた。続いて、それら遺伝子がコードするタンパク質に対する抗体が入手できるものについては、抗体を購入して免疫組織化学をおこなった。また、PCR産物から遺伝子断片をクローニングして、それを鋳型としてin vitro transcription法によりハプテンをラベルした一本鎖RNAプローブを作製し、in situ hybridizationを行うことを計画した。免疫組織化学は、様々な条件検討を行ったが陽性反応を検出することができなかった。また、in situ hybridizationでは遺伝子断片のクリーニング及びプローブ作製に手間取り、プローブはすべての遺伝子について完了したが、発現細胞の検出には至らなかった。研究期間全体を通じて、ラットを用いて下垂体前葉で低酸素に応答して発現が誘導される転写因子であるHIF-1αを発現する細胞を組織学的に同定した。さらに、下垂体前葉の培養細胞を用いて低酸素条件(10%酸素濃度、24時間暴露)で発現が変化する遺伝子網羅的に明らかにすることに成功した。本研究から下垂体前葉細胞は酸素濃度に応答して遺伝子発現を変化させることが明らかとなった。
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Research Products
(14 results)