2020 Fiscal Year Research-status Report
副甲状腺の機能維持に関わる新たな細胞(PMCs)の同定と腺構成細胞の再検討
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20K07252
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
辰巳 徳史 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (60514528)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 副甲状腺 / parathyroids / 組織構築 / 恒常性の維持 / 副甲状腺細胞 / 血管 |
Outline of Annual Research Achievements |
副甲状腺にはこれまで知られていない副甲状腺の機能、形態の維持を果たす特殊な細胞 parathyroid maintaining cells; PMCsの存在を検証することを研究目標として、本年度は副甲状腺内でどのような場所にPMCsが存在する可能性があるのかについて解析を行った。これまでの実験結果から、Gcm2を欠損させ副甲状腺細胞の増殖を減少させると、徐々に副甲状腺細胞の機能低下が起こることを見出しており、増殖細胞もしくは増殖細胞周囲の細胞の中にPMCsが存在する可能性を考えていた。そのため、これまで詳細に調べられていなかった副甲状腺細胞の増殖細胞が副甲状腺のどのような場所に分布するのかを増殖マーカーKi67 を指標としてその分布解析実験を行った。 4、8、16、32週齢のマウスから副甲状腺を単離し、100μmの切片を作製して、抗Ki67抗体を用いて増殖細胞の分布を観察した結果、副甲状腺内における増殖細胞の数は4、8週齢では比較的多く認められ、16週齢以降では増殖細胞の数が1/10程度まで減少することを明らかにした。更に、増殖細胞は副甲状腺内の血管周囲に多く存在することを見出した。この結果は、PMCsに相当する細胞が血管周囲に存在する可能性を示唆し、血液から得た体内の情報をもとに細胞増殖や恒常性の維持に必要なホルモンの分泌など副甲状腺細胞全体の機能調整を行っている可能性を見出した(第126回日本解剖学会総会・全国学術集会にて発表)。また、成熟したマウスでは副甲状腺細胞の増殖能が著しく減少したことから、ある週齢以上では副甲状腺細胞の増殖が低下して、生涯を通じて、少ない数のターンオーバーを繰り返しながら、副甲状腺が維持されていくことが想定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していた副甲状腺細胞の1細胞トランスクリプトームを行うために使用するマウス(副甲状腺が蛍光タンパク質で標識されたマウス)を海外から入手する予定でいたが、新型コロナの影響で手続きや、配送に時間を要したため、2020年度内にはマウスを得ることができなかった。しかしながら、2021年始めに海外から胚が届き、理化学研究所BRCにて個体化作業が始まっている。また、マウス到着が遅れたことから先にPMCsが分布する部位を探索する実験を行い、PMCsの候補細胞の分布やその機能などについての知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
1細胞トランスクリプトームのためのマウスが2021年度5月には手に入るため、このマウスが実際に使用可能であるのかを検証して、速やかに1細胞トランスクリプトームを行う。もし、副甲状腺が可視化できないときは、目視にて副甲状腺部位を単離して、トランスクリプトームを行う予定である。2021年度はトランスクリプトームの解析を中心に行うとともに、PMCs候補細胞の同定と、その機能について解析を行う。また、昨年度で明らかになった、増殖細胞と血管との関係性をGcm2KOマウスを用いて更に解析し、PMCsが生体内でどのような役割を持つのか検証を行う。
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Causes of Carryover |
本来マウスの購入の支払いに使用するはずであったが、マウスの到着がおくれておりその支払がまだ行われていないため、次年度使用額が生じた。また、トランスクリプトームを行うための資金が初年度だけでは足りず、次年度の支給額と合わせて行う必要が生じたためである。
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Research Products
(1 results)