2021 Fiscal Year Research-status Report
Analysis for the ubiquitination of the planar cell polarity factors during neural tube closure.
Project/Area Number |
20K07253
|
Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
永岡 唯宏 藤田医科大学, 研究推進本部, 助教 (70634864)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 平面内細胞極性 / ユビキチン |
Outline of Annual Research Achievements |
平面内細胞極性は細胞の頂端方向と垂直方向の細胞極性である。平面内細胞極性の形成メカニズムの一つとして、平面内細胞極性因子間の作用によって一方の因子をユビキチン化により分解することで分極を促すという機構が知られているが、その詳細にはいまだに不明な点が多いのが現状である。申請者らは、以前、平面内細胞極性因子Vangl2がPrickle2のユビキチン化を促進させて、その分解を増加させる機構を明らかにした。この結果は、対極だけでなく、同極の蛋白質間での発現蛋白質量の調節機構があることを示す重要な研究成果である。しかし、Prickle2のユビキチン化を担う分子の同定には至っていなかった。そこで、この分子を質量分析により網羅的に解析し同定することとその機能を明らかにすることを目的としている。今年度は、質量分析による解析により、昨年度までに達成できなかったVangl2/Prickle2複合体に結合し、かつユビキチン化に関わることが知られる分子を候補としていくつか同定することができた。また、そのうち生化学的手法を用いて、二つの蛋白質とVangl2の相互作用を確認することができた。さらに、これらの分子の発現を喪失させるためのsiRNAを設計し、これらが実際に細胞で同定された分子の発現を低下させる機能を有することを確認した。本研究に関連するVangl2とその結合分子が二分脊椎に及ぼす影響については、2021年12月の日本分子生物学会においてポスター発表を行なった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、Vangl2とPrickle2に結合する分子を同定でき、その分子の分解にはたす役割の解析を進めるための実験を行うことができた。このことから研究目標の達成に向けて、研究は計画に沿って進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度同定された分子が神経発生においてどのような発現分布、局在を示すか、Vangl2変異マウスを用いて解析する。また、今回同定された分子のうち、一つはガン特異的に発現する分子であったことから、ガンに於ける役割も合わせて解析する。これまでにVangl2、Prickle2、同定された分子がともに高発現する細胞を調べたところエストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、HER2蛋白質がどれも発現しないトリプルネガティブ乳ガン細胞株のいくつかで見られた。このトリプルネガティブ乳ガン細胞株において、同定した分子の発現を喪失させることにより、Prickle2のユビキチン化に影響が出るか、さらにはガンとしての性質(遊走性、浸潤性等)に影響が出るかを調べる。トリプルネガティブ乳ガンは浸潤性が非常に高く、乳がん治療ターゲットとなるマーカーがないことから、治療が難しいことが知られる。今回同定した分子は、ガンの治療ターゲットとして研究されている分子でもあるので、本研究の成果がトリプルネガティブ乳ガンの新たな治療法を見つけるアプローチとなる可能性があると考えている。
|
Causes of Carryover |
質量分析が比較的スムーズに行えたことから、経費が計画より少なく済んだこと、抗体の購入を年度内に行うことができず、次年度に持ち越しになったことが理由として挙げられる。繰越分は、乳ガン細胞株の購入に充て、本研究計画遂行の充実のために使用する。
|
Research Products
(1 results)