2020 Fiscal Year Research-status Report
Studies on the Importin13 function in mouse meiotic division
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20K07254
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
田中 聡 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (10321944)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Importin13 / 初期胚 / マウス / 原始外胚葉 |
Outline of Annual Research Achievements |
幹細胞と生殖細胞との特性の違いを明らかにするために、マウスの多能性幹細胞である内部細胞塊では殆ど発現せず、始原生殖細胞に強く発現する遺伝子群の探索を行った。得られた候補因子の1つ、Importin13(Ipo13)は、Importinβファミリーに属し、特定のカーゴ分子の細胞質―核間の輸送(局在変化)に働いている。Importinは、一般的にα型とβ型が複合体を形成して核内(import)、或いは核外(export)へと物質輸送を行うが、Ipo13は複合体を形成せず単独で、しかも核内と核外への両方向性にカーゴ分子を輸送する。また、Ipo13は、細胞系譜やその発生段階特異的に発現が変動しており、その発現変化は、そのままカーゴ分子の核-細胞質間の局在変化に繋がるユニークな因子である。Ipo13の機能を解明するため、Ipo13欠損マウスを作成、その機能解析を行なった。Ipo13欠損マウス胚は、胎齢7.5日頃までに致死となった。Ipo13欠損胚盤胞をin vitro培養を行うと、原始外胚葉への正常な分化が進まなかった。欠損胚盤胞からEmbryonic Stem cells(ES細胞)の樹立を行ったところ、正常胚と同様に樹立することができた。欠損ES細胞を用いてin vitroでの分化誘導実験を行なった結果、胚様体形成において、原始内胚葉の細胞が形成されなかった。また、Ipo13欠損ES細胞は、原始外胚葉へと分化誘導すると、原始外胚葉へとは分化しているが、その状態で自己増殖を維持することができなかった。現在、Ipo13のfloxマウスを作成し、その機能解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナの感染拡大防止のため、研究室で実験を行うことに制限がかかる場合もあったが、遺伝子改変動物の繁殖等、概ね、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
Ipo13欠損ES細胞は、原始内胚葉の細胞へと分化することができない、及び、原始外胚葉へとは分化しているが、その状態で自己増殖を維持することができないことが明らかとなっている。現在、Ipo13のfloxマウスを作成し、その機能解析を進めている。Ipo13-floxマウスを用いて時空特異的な欠損を誘導して、Ipo13の機能解析を行うと共に、Ipo13-floxマウスの胚盤胞からES細胞を樹立して、in vitroでの分化誘導系でのコンディショナルノックアウトを行い、その機能解析を進める。また、この欠損ES細胞を用いて、Ipo13の機能的なカーゴ分子の同定を生化学的に行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナの感染拡大防止のため、出張がすべて取りやめとなり、旅費の使用はなしとなった。また、実験室への入室制限等があったため、消耗品等の物品の購入を控えた(学外の業者が学内に入ることをできるだけ減らすため)。現在、ストックがほとんど底をついている状態のため、今年度分の予算で物品の購入等を行う予定である。
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Research Products
(4 results)