2021 Fiscal Year Research-status Report
心調律における細胞内小胞体カウンターイオンチャネル(TRIC)の重要性
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20K07255
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
村上 学 弘前大学, 医学研究科, 教授 (80302090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹島 浩 京都大学, 薬学研究科, 教授 (70212024)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カルシウム / イオン / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、細胞内小胞体カウンターイオンチャネル(TRIC)の心機能における重要性を解明することである。 心臓は臓器固有の調律を有し、 電気的に統合・制御され、 収縮と弛緩を繰り返す。心調律は洞結節における膜電位の周期的変化(メンブレンクロック)と、 細胞内カルシウム(Ca)濃度の周期的変化(Caクロック)の二因子により決定される。Caクロックは細胞内に存在する小胞体からCaを放出するリアノジン受容体と、細胞内Ca濃度を低下させるNa/Ca 交換機構が重要である。本研究の主題であるTRIC(trimeric intracellular cation)チャネルは、小胞体におけるCa放出を補佐するカウンターイオンチャネルと考えられている(Yazawa, Takeshima, Nature 2007)。TRICチャネルにはAとBの2種の遺伝子があるが、リアノジン受容体を制御するチャネルはTRIC Aと考えられている。TRIC Aは横紋筋組織(骨格筋、心筋)に豊富に発現する。しかしながら心調律におけるTRIC Aチャネルの重要性に関しては報告がない。 令和3年度は、TRIC Aチャネル遺伝子欠損マウスを交配し、基礎的検討を行った。遺伝子改変動物における心拍数の低下を確認した。メカニズムを精査するため、交感神経遮断薬などの薬理学的修飾下、心電図を測定した。さらに心臓超音波、単離心臓における心筋活動電位、心筋収縮力などを検討した。 自発性心筋活動電位を測定し、心臓のペースメーカーにおける自発能の低下、さらに交感神経刺激に対する反応性の低下を確認した。これまでの結果をもとに、 遺伝子改変動物に関し、論文を発表した。研究は、順調に進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は順調に進行している。共同研究者間の連絡も密である。 論文を一編、発表した。今後は電気生理学的検討をさらに加え、さらに研究を発展させる。 心筋細胞培養の実験系を確立した。細胞培養を用い、細胞内カルシウム濃度測定、PKA活性測定を行なっている。パッチクランプ系も確立し、研究を遂行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
電気生理学的検討中心に、さらに研究を遂行する。細胞内PKA(protein kinase A)活性を測定する実験系を確立、応用し、カルモジュリンIVの有無によるPKAへの影響を精査する方向で、発展させるべく努力する。 細胞内PKA活性測定に関しては、測定系を確立したと言える。論文を投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ感染による研究の遅延、および、学会が全てオンラインになったことなど、不確定要素が多数あったため、研究費の節約に努めた結果、次年度使用額が生 じた。また、研究室設備の老朽化が進んでおり、実験機器購入(買い換え)も必要になる可能性がある。今後、論文投稿費用などの支払いも見込まれる
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Research Products
(4 results)