2022 Fiscal Year Research-status Report
細胞種ごとに異なる発現パターンを示す小胞体内イオン輸送体の生理学的意義の解明
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20K07256
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村田 喜理 東北大学, 医学系研究科, 講師 (60455780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 卓史 帝京平成大学, 薬学部, 准教授 (30455795)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 小胞体 / 膜輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体内のイオン組成が小胞体機能や疾患の発症に重要な役割を果たすことが明らかとなりつつあるにも関わらず、小胞体内のイオン組成およびその調節機構に は依然、不明な点が多い。本研究では、小胞体に発現するイオン輸送体の種類が;細胞種ごとに異なることの生理学的意義の解明を目指す。 そのためにまず、pHをはじめとした小胞体内のイオン組成について、外分泌細胞、B細胞など細胞種ごとに測定を行う。本計画では小胞体に局在させた種々のイ オンに対するタンパク質性蛍光プローブを用いて、小胞体内腔のイオン濃度の測定を行う。 蛍光プローブをHEK293細胞に導入して観察を行ったところ、想定よりも蛍光強度が低く、測定が困難であった。現在、発現量を増やすなどの改変を試みつつ、異なるテーマに取り組んでいる。 小胞体内に局在するように改変したタンパク質性の蛍光pHプローブ mCherrySEpHluorinを発現させたHEK293細胞からnuclear envelope標本を作成し、外液(細胞質側)のpH、イオン 組成を変化させたときの、小胞体内のpH変化をpHluorinとmCheryの蛍光強度比の変化から、小胞体内のpH変化を観察した。その結果、nuclear envelope内側のK+イオン、外側のKClがnuclear envelope内の酸性化に寄与することが示唆された。 薬理学実験の結果、nuclear envelope内のK+イオンはK+-H+交換輸送体によるH+イオンの外惻への輸送を阻害することにより、また、外側のKClは内側のK+イオンの供給源として機能し、それぞれ内側の酸性化を促進していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初テーマに用いる予定の蛍光プローブが、想定通り機能せず、問題解決に時間を要しているが、代替のテーマを実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
蛍光プローブが機能するよう、引き続き問題解決を試みる。実施している代替のテーマも並行して進める。
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Causes of Carryover |
購入した物品の納期の遅れがあった(4月に納品予定)。 また、計画の変更に伴う支出の見直しなどが生じたため。
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