2022 Fiscal Year Annual Research Report
ネグレクトの抑制における分子作用機序の解明:乳汁成分とエピゲノム修飾の解析
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20K07265
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
下川 哲昭 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (90235680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鯉淵 典之 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80234681)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ネグレクト / オキシトシン / 母乳 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度に実施した研究の成果: (1)マウスの授乳中の母乳に含まれるオキシトシン (Oxt)の濃度の変化をELISAで測定した。分娩後16日間中、分娩3日後と8日から12日にかけて母乳中のOxt濃度は有意に高値を示した。分娩3日後の高値は分娩の際の子宮筋収縮のための大量分泌の影響によるものと思われる。一方、分娩後8日から12日までの間の上昇は血中Oxtが母乳に外分泌される生理的意義の一つであり、次世代の育児行動の発現に必要な (必然的な) 上昇と考えている。(2)Oxtを完全に含まない母乳(無Oxt母乳)を得るために、オキシトシン欠損マウス (Oxt-/-)を導入した。現在、多様な実験に使うために繁殖させ、各遺伝子型における実験群を確立させている。(3)Oxtを完全に含まない母乳(無Oxt母乳)を得るために、マウスの人工乳を作製した。現在、人工乳と正常なマウス母乳との成分の比較をアミノ酸分析装置やガスクロマトグラフ質量分析装置等を使って解析している。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果: 本研究は、下垂体後葉ホルモンであるオキシトシン(Oxt)が母乳中にも存在することの生理的意義と育児行動の発現の解析を目的とした。生化学手法を用いてOxt抗体を結合させたビーズを充填したカラムにマウスから搾乳した母乳を通す事によりOxt量の低下させた母乳(低Oxt母乳、71%のOxt除去)を作製できた。この低Oxt母乳で哺育された雌マウスは、次世代への育児行動が強くネグレクトすることを見出した。この低Oxt母乳にOxtを添加するとネグレクト回避することを確認できた。今後、無Oxt母乳による育児放棄の解析のため、Oxt-/-からの母乳と人工乳による解析を行う予定である
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Research Products
(10 results)