2020 Fiscal Year Research-status Report
Numerical analyses of the complex pathogenesis for hereditary tachy-/brady-arrhythmias due to TRPM4 channel mutations
Project/Area Number |
20K07269
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
井上 隆司 福岡大学, 公私立大学の部局等, 研究特任教授 (30232573)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | TRPM4チャネル / 遺伝性心不整脈 / 興奮伝導障害 / 電気生理学 / 数理モデルシミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
TRPM4チャネル遺伝子変異による機能的挙動の変化が、いかにして多彩且つ複雑な不整脈性変化を引き起こし得るのかを核心的な問いとし、このチャネルのために特別に開発した電気生理学的電流測定法と興奮生成・伝播の数理モデルシミュレーションを駆使したシステム生理学的アプローチによって統合的に理解することを目的として研究を進めた。 その結果、single-cell活動電位モデル、1Dケーブル興奮伝播モデル、2Dストリップあるいはシートによる興奮伝播モデルを評価系として確立し、最初に報告されたTRPM4チャネルのE7K変異体が伝導障害を起こす機序を明らかにすることができた(2021年3月28日、生理学会大会シンポジウムにて発表、現在論文準備中)。具体的には、Torovatoプルキンエ線維モデルにTRPM4チャネル(変異体及び野生株)の電位・Ca依存的ゲーティングキネティクスを組み込んで、(1)このチャネル密度の増加にと伴って伝導速度が減少すること、(2)伝導速度の減少は興奮頻度依存的により顕著になること、(3)チャネル発現の空間分布に不均一性を導入すると、2:1,3:1伝導などのより複雑な伝導ブロックが生じることを明らかにすることができた。 またこれらに付随する結果として、(3)TRPM4チャネルの催不整脈性はCaMKIIの異常活性化によって著しく増大すること、(4)またE7K変異は、神経体液因子等のストレスの慢性負荷が引き起こすPIP2減少の「負のブレーキ」効果を無効にすることで、心リモデリング時のTRPM4活性増加によって生じる催不整脈性を更に増悪させている可能性を発表した(本年度の原著論文3,5)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の端緒となったE7K変異体の催不整脈性について、実験データに基づいた単一細胞レベル、1Dケーブル、2Dストリップ・シートによる数理モデルを構築し、伝導障害が起こる機序を詳細に明らかにできた。これによってこれ以外の遺伝子変異について同様の検討を行う枠組みを完成させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに同定された変異体の中で、昨年度の予備的実験で顕著なゲーティングの変化を示すことが示唆されたものについて(p.Q854R等)、イオノマイシン膜穿孔型単一電流記録法(Iono-C/A)を用いて、これらの変異体の詳細なゲーティング解析を行い数式化する。更に、これらの数理モデルを1D、2D興奮伝播評価モデルに組み込んで、異常伝導を引き起こすメカニズムを探究する。また、最終年度(2022年度)にむけ、疑似心電図、3Dスラブ、全心臓モデルを用いた有効性のある評価系の確立を進める。
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Research Products
(9 results)