2021 Fiscal Year Research-status Report
神経内分泌による環境変化に応じた体温維持の制御機構
Project/Area Number |
20K07271
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大歳 維知子 (西島維知子) 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 非常勤講師 (70600394)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 孝博 明治大学, 農学部, 専任准教授 (00581985)
吉崎 嘉一 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 障害モデル研究部, 主任研究員 (50393161)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | セクレチン / 概日リズム / 体温調節 / 摂食 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境の季節変動への適応性の解明は、生命の維持機構を知る手がかりになるだけでなく、季節性の疾患憎悪の防止や季節性うつ・感情障害などの特有疾患の発症と治療へ結びつく可能性があり、生命科学の重要な課題の一つと考えられる。なかでも冬への進行に際した寒気環境の適応反応(適応熱産生)は褐色脂肪組織を介して行われているが、詳細なメカニズムは明らかになっていない。近年、ペプチドホルモンであるセクレチン(Sct)が食事誘導性の褐色脂肪組織の熱産生の中心的な役割を果たすことが明らかになってきた。従来褐色脂肪組織の発熱反応は自律神経経路により誘導されると考えていたが、神経内分泌系の作動機序が初めて示唆された。そこで申請者は、セクレチンが褐色脂肪組織を介して発熱反応を調節する開始の作動機序が、食事誘導性だけではなく、寒冷環境変化や体温の日 内変動に対しても同様に作動すると考え、検証するために飼育環境とデータ取得の条件設定を進め、現在、平常温度におけるSct受容体(R)変異マウスの体温の日内変動解析を実施している。さらに、日内変動における摂食行動の制御として、セクレチンによる内分泌制御関与を調べるため、SctR変異マウスに標準的なプロトコールの制限給餌実験を行なった。その結果、野生型と同様にSctR変異マウスにおいても、昼4時間の給餌に対して給餌予知輪回し活動が観察され、制限給餌後の絶食期間においても給餌予知活動が認められた。これらのことは、セクレチンシグナリングは給餌予知リズムを司る食餌性概日振動体と強く関わっていないことを示唆しており、同結果を学術雑誌に発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナウイルスの影響に加えて、職位・勤務体制の変更(非常勤講師への変換)により、遅れが生じた。また、実験動物施設の改修のために、令和3年度は暫定的な飼育施設において飼育しており、当該施設のスペースの都合により、飼育可能なマウス数に限りがあるため、遅れを生じてしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年10月より、研究分担者として、愛知県医療療育総合センター発達障害研究所・障害モデル研究部の吉崎嘉一博士に研究に参加いただき、吉崎先生の研究機関の実験動物施設において平常環境ならびに寒冷環境下での体温調節の研究を進めていく。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響と職位の変更により、実験の遅延が生じた。さらに実験動物飼育施設の改築により、暫定飼育施設での飼育可能スペースが減少したため、マウスの飼育数と実験のスケールダウンを行い、次年度使用額が生じた。2022年度にマウスの繁殖、データ取得を行う。
|
Research Products
(2 results)