2020 Fiscal Year Research-status Report
核内受容体型転写因子LXRの分子修飾による生体での栄養代謝制御機構の解明
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20K07272
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
武内 謙憲 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70508093)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 栄養代謝 / 転写因子 / 翻訳後修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内では栄養状態の変化を感知し様々な遺伝子発現が変動することで代謝恒常性を維持している。申請者はその中でも肝臓での脂質合成系調節を担う遺伝子SREBP-1cの発現調節機構を解明するため、画期的な生体でのプロモーター解析法「in vivo Ad-luc法」を開発し、絶食時に転写因子KLF15が核内受容体型転写因子LXRの活性を抑制することがSREBP-1c発現調節に重要であることを見出した。さらにKLF15ノックアウトマウスの解析よりKLF15とは独立したLXR活性調節経路が存在し、その経路にはLXRタンパク質のリン酸化修飾が関与していることが示唆された。そこで本研究では、生体肝臓でのリン酸化をはじめとしたLXRタンパク質分子修飾の様子を、高精度なLC-MS/MS機器を用いた質量分析法にて網羅的に解析し、それら分子修飾が担うSREBP-1c発現調節のダイナミクスをin vivo Ad-luc法にて検証することで、KLF15経路とLXRタンパク質分子修飾による生体内における経路の重要性や役割の違いを明確化し「“生体での”栄養代謝制御ネットワーク」の解明を目的とする。 令和2年度は、絶食および摂食時のマウス生体肝臓核抽出物より免疫沈降法にてLXRタンパク質を精製し、抗リン酸化セリン/スレオニン抗体によるウェスタンブロット法、リン酸化タンパク質を検出できるPhos-Tag法によりLXRタンパク質のリン酸化を評価した。さらにLC-MS/MSを用いた質量分析法にてリン酸化修飾部位を特定することを試みた。その結果、マウス生体肝臓のLXRタンパク質のリン酸化を定量的に評価することが出来、いくつかのセリン/スレオニン残基におけるリン酸化修飾を検出することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、生体肝臓でのリン酸化をはじめとしたLXRタンパク質分子修飾の様子を、高精度なLC-MS/MS機器を用いた質量分析法にて網羅的に解析し、それら分子修飾が担うSREBP-1c発現調節のダイナミクスをin vivo Ad-luc法にて検証することで、KLF15経路とLXRタンパク質分子修飾による生体内における経路の重要性や役割の違いを明確化し「“生体での”栄養代謝制御ネットワーク」を解明することである。 令和2年度においては、本研究計画調書の通り、絶食および摂食時のマウス生体肝臓核抽出物より免疫沈降法にてLXRタンパク質を精製し、抗リン酸化セリン/スレオニン抗体によるウェスタンブロット法、リン酸化タンパク質を検出できるPhos-Tag法により、LXRタンパク質のリン酸化を定量的に評価出来たとともに、LC-MS/MSを用いた質量分析法にていくつかのセリン/スレオニン残基におけるリン酸化修飾を検出することが出来たため、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は当初計画の通り、絶食および摂食時のマウス生体肝臓核抽出物より、免疫沈降法にて精製したLXRタンパク質を用いて、LC-MS/MSによる質量分析法にてリン酸化修飾を網羅的に検出し、かつ絶食および摂食時の各残基のリン酸化修飾の程度を定量的に評価する予定である。また、LXRタンパク質はin vitroではPKAによりリン酸化することが報告されているため、マウス生体肝臓でのリン酸化部位とin vitroでのPKAによるリン酸化部位を比較し、生体でPKAによるリン酸化がなされているかの確認を行う。PKA以外の酵素によると予想されるリン酸化部位が見つかった場合、リン酸化酵素の同定や上流経路の解析も進める。さらにアセチル化・メチル化リジンなどの分子修飾についても質量分析法により検出を行い、栄養状態の変化との関連を評価する。
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Causes of Carryover |
令和2年度1月にLC-MS/MS機器を用いた分析を行う予定であったが、当該機器の不具合により分析が出来なかったため、次年度使用額が生じた。このため、LC-MS/MS機器を用いた分析は令和3年度に行うこととし、次年度使用額はその経費にあてることとしたい。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] Elucidation Of Apoa1 Gene Regulatory Mechanism Through Searching Causal Single-Nucleotide Variants.2020
Author(s)
Aita Yuichi, Yahagi Naoya, Takeuchi Yoshinori, Ho Man Hei, Saber Zahra Mehrazad, Huyan Yiren, Murayama Yuki, Shikama Akito, Masuda Yukari, Izumida Yoshihiko, Sekiya Motohiro, Nakagawa Yoshimi, Matsuzaka Takashi, Kawakami Yasushi, Shimano Hitoshi
Organizer
American Heart Association Scientific Sessions 2020
Int'l Joint Research
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