2023 Fiscal Year Annual Research Report
新規冷受容分子TREKと女性ホルモンに着目した女性の冷えのメカニズムの解明
Project/Area Number |
20K07275
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
内田 有希 昭和大学, 医学部, 助教 (50634002)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 女性ホルモン / TREK2 / TREK1 / 冷え症 / 寒冷応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】女性の冷えのメカニズムを女性ホルモンと新規冷受容分子TREKに着目して明らかにする。【研究計画】(実験3)プロゲステロン(P4)のTREK1,2を介した体温調節への影響(実験4)P4のTREK1,2を介した体温調節反応に関わる脳、末梢組織の解析(実験5)若年女性において月経周期がTREK1, 2作動薬の足背塗布時の温熱的不快感と皮膚温へ及ぼす影響【研究成果】(実験3)卵巣摘出ラットにおいてP4投与の有無に関わらず、TREK作動薬(オスタルチン)腹腔投与は体温を上昇させた。よって、TREK作動薬は体温を上昇させるが、P4はTREKを介した体温調節に影響しないことが示唆された。(実験4)実験3でP4の作用が認められなかった為、実施しなかった。(実験5)昨年度までに、卵巣摘出ラットでエストロゲン(E2)はTREK1作動薬投与時の体温上昇を促進することを明らかにした。TREK作動薬投与は尾部皮膚温を低下させ、E2により低下する傾向がみられた。本年は予定を変更し、詳細なメカニズムを検討した。まず、脊髄後根神経節RNAシーケンス解析を行った。E2は脊髄後根神経節のTREK1, VGF, Nos1 mRNAを上昇させた。つぎに、in vitro実験で、脊髄標本にTREK作動薬を投与し、感覚神経の反射電位を計測した。TREK作動薬は感覚神経刺激に対する反射電位を増やした。現在、カルシウムイメージングによるTREK作動薬の脊髄後根神経節細胞の活動計測を行っている。これらの結果から、TREK作動薬による感覚神経の興奮とE2によるTREK1発現の増加は、末梢の寒冷感受性を促進する可能性がある。また、TREK作動薬とE2の尾部皮膚温低下による熱放散抑制は、TREK 投与時のE2による体温上昇の要因と考えられる。女性でP4ではなくE2がTREK1を介し、冷えを感じやすくし、体温を上げることが示唆された。
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