2020 Fiscal Year Research-status Report
先端的蛍光技術を用いた分泌顆粒動態の計測法確立と調節機構の解明
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20K07280
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
高橋 倫子 北里大学, 医学部, 教授 (60332178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畠山 裕康 北里大学, 医学部, 講師 (00619067)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 内分泌 / 蛍光画像 / 細胞生理 / インスリン / アクチン / 細胞骨格 / 単分子イメージング / ホルモン分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
インスリン顆粒膜に発現する亜鉛輸送体(ZnT8, zinc transporter 8) や、顆粒内容物であるインスリンを可視化するために、これらの分子にhaloTagや蛍光色素EGFPを付加した発現プラスミドベクターを作成し、インスリン分泌株化細胞:INS-1細胞にリポフェクション法を用いて導入した。イメージングは高速共焦点顕微鏡で行い、グルコース刺激やフォルスコリン刺激を与えた場合の分泌顆粒動態の変化を検討した。 量子ドットで顆粒膜を標識する実験も行った。市販のサクシニミジルエステル化されたHaloTagリガンドと、QdotITK amino (PEG)を反応させ、HaloTagリガンドと量子ドットの複合体を作製した。インスリン顆粒標識ベクターをINS-1細胞に遺伝子導入し、24時間後にこのQdot複合体 を電気穿孔法で導入し、HaloTagとの共有結合を介してZnT8を蛍光標識した。RPMIで5時間培養後に高感度高速共焦点顕微鏡で単分子観察し、褪色を抑えながら分泌顆粒の細胞内動態の長時間可視化に成功した。 並行して、細胞骨格を蛍光標識するプラスミドベクターの作成も行った。これらの分子の挙動を株化細胞のみならず、初代膵培養細胞で検討もできるように、アデノウィルスベクター化を行った。ウィルスベクターの作成と精製の実験系立ち上げに現研究室で成功した。 アクチン重合を変容させる薬剤を投与すると、顆粒動態が変化すること、さらには細胞骨格分子の分布が細胞内で変貌する様子を蛍光画像上で検出でき、発現実験系と検出解析系の双方が立ち上げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分泌細胞における生命現象をイメージング観察するために必要な、各種ツールのデザイン、作成、精製、細胞内導入などに成功している。中でも、現在の研究室で、複雑で多くのステップを要するアデノウィルスベクター化に成功していることは、今後の膵細胞研究を推進する上で重要な意味を持つ。遺伝子導入した細胞の観察も可能となり、顆粒運動を定量的に把握するための客観的な方法の確立を行い、細胞骨格変容剤投与時の変化の検出にも成功しており、妥当な判定ができているものと考察される。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的な実験系の立ち上げに成功しているため、今後は、生理的に重要な分泌刺激剤であるグルコースにより強く反応するプライマリー細胞を用いた検討に移る。そして、細胞骨格や細胞内小器官と分泌顆粒動態との関連について、種々の病態における変化を含めて検討を進めることを計画している。
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Causes of Carryover |
学会や研究会がWeb開催に変わり、学会出張費を要さなかったこと、また、現有する機器が今年度も活用可能となり、物品費で請求していた機器の購入時期を先延ばしにしていること等が原因である。
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