2021 Fiscal Year Research-status Report
先端的蛍光技術を用いた分泌顆粒動態の計測法確立と調節機構の解明
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20K07280
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
高橋 倫子 北里大学, 医学部, 教授 (60332178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畠山 裕康 北里大学, 医学部, 講師 (00619067)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 内分泌 / インスリン / 分泌顆粒 / 細胞内運動 / 蛍光 / 膵島 / 顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
インスリンは生体の成長や糖代謝に重要なホルモンであり、その分泌不全は2型糖尿病の成因に深くかかわるため、インスリン分泌制御機構の解明を目指した研究を進めている。膵β細胞クラスター標本のインスリン顆粒を、ウィルスベクターによる遺伝子導入系とHalo-Tag 技術を用いて蛍光標識し、高速高感度共焦点顕微鏡で顆粒動態の観察を行った。画像撮影速度を4条件設定して検討し、その中で適切と考えられる実験条件を選択した。そして、二種類の指標と平均二乗変位をもとに定量比較する方針にした。また、クラスター標本の中の細胞間に異質性が認められるために、各実験後に細胞膜の位置を膜染色性色素により同定し、細胞ごとに解析して統計解析することにした。 水溶性蛍光色素液で開口放出部位の同定が共焦点顕微鏡でも可能となった。そして、顆粒標識蛍光と二重染色観察を行うことで、顆粒運動と開口放出との関連を調べられることを確認した。 続いて細胞内cAMP 濃度を増やす薬剤の効果を検討し、グルコース刺激時における顆粒動態に違いが認められた。同様に細胞内カルシウム濃度上昇の影響についても、別途解析を行った。 一方、量子ドットを用いた顆粒動態観察も安定して運用でき、複数種類のアクチン線維重合を変容させる薬剤を用いて検討した。各薬剤の作用点により顆粒動態が異なることが示され、アクチン動態が顆粒運動の調節に関わることが示唆された。また、微小管の重合・脱重合についても各種の阻害剤を用いて検討を進め、インスリン顆粒動態に影響を与えることが見いだされた。さらに、2型糖尿病のモデルとなりうる高濃度グルコース、脂肪酸の存在時における顆粒動態も検討し、有意な違いを見出すことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二種類の方法で顆粒動態を観察する実験系を新規に立ち上げ、時間解像が互いに異なるので、それぞれの利点を生かした研究が推進できるようになり、新知見につながる実験データの獲得もできている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の遺伝子導入方法を続けるとともに、内因性インスリンを標識する実験系の確立も目指す。細胞内cAMP濃度を増減させる複数の試薬を用いた研究を行うとともに、 cAMP が顆粒動態に関与するメカニズムについての検討も行う。
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Causes of Carryover |
COVID感染の状況で、オンラインで開催される学会も多く、主として旅費を繰り越す形となった。
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[Journal Article] MEK/ERK signaling in β-Cells bifunctionally regulates β-Cell mass and glucose-stimulated insulin secretion response to maintain glucose homeostasis.2021
Author(s)
Yoshiko Matsumoto-Ikushima, Motoharu Awazawa, Naoki Kobayashi, Sho Osonoi, Seiichi Takemiya, Hiroshi Kobayashi, Hirotsugu Suwanai, Yuichi Morimoto, Kotaro Soeda, Jun Adachi, Masafumi Muratani, Jean Charron, Hiroki Mizukami, Noriko Takahashi, Kohjiro Ueki
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Journal Title
Diabetes
Volume: 70
Pages: 1519~1535
DOI
Peer Reviewed
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