2020 Fiscal Year Research-status Report
Molecular and cellular mechanisms of fever in brain hemorrhage: possible involvement of microglia and platlets
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20K07281
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
松村 潔 大阪工業大学, 工学部, 教授 (10157349)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脳出血 / 発熱 / プロスタグランジン / ミクログリア / アラキドン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では脳出血による発熱のメカニズムについて、以下の3つの問題に取り組む。 ①発熱に関わるCOX-1を発現する細胞はミグログリアか、血小板か。②脳出血領域で産生される脂質メディエータを網羅的に解析し、それらの発熱性(あるいは解熱性)を解明する。③COX(COX-1とCOX-2)の基質となるアラキドン酸はどのように供給されるか。脳出血時には血漿中の高濃度遊離アラキドン酸が脳に直接漏出する。その関与を含めて検討する。この3つの問題に並行して取り組む。初年度にあたる2020年度の研究実績はそれぞれ以下のとおりである。 ①ミクログリア特異的COX-1ノックアウトマウスを入手し、繁殖を開始した。まだ実験そのものには着手していない。 ②脳出血領域で産生される脂質メディエータの網羅的解析を終了した。その結果、出血領域では非出血脳領域と比較してアラキドン酸、DHA、EPAを前駆物質とする脂質メディエータの多くが増加していた。その中には、PGE2(発熱性)と共に、抗炎症性の脂質メディエータも含まれていた。 ③血中遊離アラキドン酸濃度と同レベルのアラキドン酸溶液をマウスの視索前野に投与した。投与容量はコラゲナーゼによる実験的脳出血で見られた出血領域から算出した値を参考に決めた。その結果、マウスの体温は数時間にわたり上昇した。また、脳スライス標本をアラキドン酸存在下で培養し、各種COX阻害剤の効果を調べた。アラキドン酸存在下でPGE2は増加し、COX-1阻害剤はCOX-2阻害剤よりもより強くPGE2産生を抑制した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①について、ミクログリア特異的COX-1ノックアウトマウスは、順調に繁殖している。2021年度中にその実験を行うことが可能である。 ②および③については、ほぼ予定通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
①2021年度には、ミクログリア特異的COX-1ノックアウトマウスを用いた、脳出血発熱の実験を行う。血小板特異的COX-1ノックアウトマウスの準備を行う。 ②脳出血領域の脂質メディエータの中で、特に変動の顕著なものに着目し、その機能を検討する。 ③アラキドン酸をアルブミンに結合させ投与する。
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Causes of Carryover |
緊急事態宣言発出により、実験の実施に遅れが生じた。次年度使用額1,272,693円+翌年度分予定額80,000円=2,072,693円の使用計画内訳以下のとおりである。 物品費(実験動物、試薬、器具類)1,200,000円、 その他(受託解析、受託動物繁殖)872,693円
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