2021 Fiscal Year Research-status Report
概日リズム睡眠障害の解消を目指した体内時計制御機構の解明
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20K07282
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
南 陽一 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任准教授 (40415310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重吉 康史 近畿大学, 医学部, 教授 (20275192)
久保 厚子 近畿大学, 医学部, 助教 (70647792)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 概日リズム / Vipr2 / 視交叉上核 / 遺伝子改変ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
Vipr2 KOラットとPer2-dLucレポーターをもつトランスジェニックラット(Per2-dLuc TG)の交配により、体内時計の状態を発光で追跡できる動物を得た。Vipr2 KO / Per2-dLuc TGラットから肺を摘出して器官培養したところ、Vipr2 KOラットでは肺のリズムが前進することを観察した。私たちは、Vipr2欠損ラットではコルチコステロンリズムが失われていることを確認しており、このことが肺の体内時計の異常の原因であるだろうと考えられた。事実、デキサメタゾンを投与した場合に、KOラットと野生型ラットの肺組織の概日リズムがほぼ類似した概日リズムを振動するように回復したことを観察している。 また、視交叉上核を切り出して培養下の発光リズムを追跡したところ、KOでも初期には明瞭な概日リズムが観察されるもののすぐに減弱してしまうことが分かった。これはVipr2 KOマウスでみられる現象と類似しており、サンプル調製時の人工的な刺激による概日リズムの惹起によるものであると考えられた。興味深いことに、CCDカメラによる観察では、KOラットでは視交叉上核の領域間にリズムの特性の違いが観察された。長期に観察を進めた場合に、領域間の位相が徐々に乖離し、結果として細かい領域では概日振動を保っているにも関わらず、全体では振動を失っている様子が観察された。現在、領域間にみられた違いを明確にするために、詳細な解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TGラットとの交配による子どもを得ることができ、視交叉上核内のVipr2の機能について発光イメージング系を用いた解析を進めている。研究の進捗に目立つ障害はない。
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Strategy for Future Research Activity |
CRISPR/Cas9法で作成された遺伝子改変動物の場合、オフターゲットの確認は重要である。現在、候補配列について解析を進めているが一部未確定のものがあるため、早急に決着をつける。ただし、2ラインのKOラットで同じ結果を得たこと、マウスで報告されている表現型と類似の表現型を得ていることから、今回観察されたものがオフターゲットによるものである可能性は極めて低く、進行に障害はないと考える。 視交叉上核における発光リズムの観察は順調に推移しており、今年度は領域ごとの解析を詳細に進めていく。データの取得は順調に進んでおり、進行に問題はない。 Vipr2KOラットでの時差ぼけ実験についても数例挑戦したが、視交叉上核内の変化の追求を優先して進めるために、優先順位を落とす。
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Causes of Carryover |
丁寧な支出に務めた結果、総定額よりも若干の余剰が生じた。また、計画の進展が順調であったため学会への出張や異動に伴う現地での会議を検討していたが、社会情勢を鑑み、出張を控えざるを得なかった。令和4年度に繰り越すことで、研究の加速および学会参加による積極的な発信に努めたい。
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Research Products
(4 results)