2021 Fiscal Year Research-status Report
シナプス小胞の開口放出過程におけるシンタキシンの時空間ダイナミクス解析
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20K07286
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
並木 繁行 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (90452193)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 一分子イメージング / シナプス分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究で最適化した一分子蛍光観察の条件をベースにしてCOS7細胞でシンタキシンの一分子蛍光イメージングを行い、細胞膜上でのシンタキシン分子の動態を調べた。具体的には、DeQODEタグを付加したシンタキシン分子(DeQODE-Syntaxin)の発現ベクターをCOS7細胞に遺伝子導入し、QODEプローブを細胞外液に負荷することによってDeQODE-Syntaxinが染色され、細胞膜に発現していることを確認した。続いて、細胞外に負荷するQODEプローブの濃度を下げることによって、1分子蛍光が高コントラストで観察できるようにした。多数かつ長寿命の蛍光輝点の軌跡が得られるように、QODEプローブの濃度と励起光の強度を調節した。ここでは合わせて、QODEプローブ非特異的な結合による蛍光輝点の明るさや数について定量的に評価し、DeQODE-Syntaxin特異的な蛍光標識が大多数となる観察条件を見出した。続いて、実際にCOS7細胞の細胞膜上で定常状態での拡散係数を算出した。具体的には、多数の蛍光輝点データからフリーの画像解析ソフトウェアImageJのプラグインのTrackMateを用いて各輝点をトラッキングして全輝点の時間情報と位置情報を取得した上で、、自作解析プログラムによって各輝点の軌跡から拡散係数を算出できるようにした。得られた多数の蛍光軌跡に基づいた拡散係数のデータから推定される拡散係数の分布型が理論的に予想される分布型となることが確認でき、DeQODEシステムを用いた1分子蛍光観察によって1分子レベルのダイナミクスを精密に計測できることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していたDeQODEシステムを用いた1分子イメージングによって細胞膜上の分子の一分子レベルのダイナミクスを計測する実験及び解析系の確立が完了したため
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに最適化した実験条件の下で、COS7細胞や培養神経細胞の細胞膜上でのシンタキシンなどのシナプス関連分子の1分子動態解析を行い、シナプス関連分子間の相互作用やシナプス機能とシナプス分子の時空間ダイナミクスとの関係を明らかにする。
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