2023 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインキナーゼCシグナリングによるがん細胞の細胞死回避機構の解明
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20K07289
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
梶本 武利 神戸大学, 医学研究科, 助教 (00509953)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / プロテインキナーゼC / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1)がん細胞のアポトーシス抵抗性におけるS1P-aPKCシグナルの下流シグナルおよび飢餓ストレスとの関係、2)構造ベース創薬に資するレベルでのS1PによるaPKC活性化の分子メカニズム、を明らかにすることを目的としている。 2023年度は、2022年度に引き続き「S1PによるaPKC活性化の分子メカニズムの解明と高解像度の立体構造情報の取得」および「がん細胞のアポトーシス抵抗性におけるS1P-aPKCの下流シグナルの解明」の各課題を遂行すると共に、「S1P-aPKCシグナリングの飢餓ストレスシグナルにおける役割の解明」の課題に取り組んだ。 「S1PによるaPKC活性化の分子メカニズムの解明と高解像度の立体構造情報の取得」では、カリフォルニア大学サンディエゴ校との共同研究によりaPKCの活性化調節におけるS1Pの相互作用と翻訳後修飾との関係を分子レベルで検討した。その結果、S1Pの相互作用と翻訳後修飾とが構造的に影響し合うことでaPKCの活性化レベルが高精度に調節される、aPKC活性化の新たな分子メカニズムを見出した。また、「S1P-aPKCシグナリングの飢餓ストレスシグナルにおける役割の解明」については、S1PによるaPKC活性化における飢餓ストレスの効果を検討したところ、様々な飢餓ストレスにおいてS1Pの効果が高まることを見出した。またさらに、この飢餓ストレスの効果がaPKCの翻訳後修飾と関係することも明らかにした。 本研究の成果により、S1PによるaPKCの活性化調節機構について構造生物学的により高精度の情報が得られ、さらに飢餓ストレスにおけるがん細胞の細胞死回避について、S1P-aPKCシグナリングによる分子レベルでの調節メカニズムとして体系的な理解が得られた。
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