2020 Fiscal Year Research-status Report
核酸薬を用いた肥満・高血糖を伴う認知機能低下に対する治療戦略
Project/Area Number |
20K07296
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
青山 晃治 帝京大学, 医学部, 教授 (00420943)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グルタチオン / α-メラニン細胞刺激ホルモン / GTRAP3-18 / miR-96-5p / EAAC1 |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体蛋白質であるGTRAP3-18は、神経細胞において抗酸化物質であるグルタチオン(GSH)産生や摂食・血糖調節ホルモンであるα-メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)産生を制御する蛋白質であり、海馬における抗酸化・記憶学習機構、ならびに視床下部における摂食・血糖値制御に重要な役割を果たしている。近年、Alzheimer病をはじめとする認知症の発症要因として酸化ストレスを惹起する肥満および糖尿病の病態が注目されている。 本研究では、GTRAP3-18の発現を制御するmicroRNA(miR-96-5p)を標的としたantimiRを核酸薬として用いることで、海馬GSH増加による抗酸化・神経変性抑制および認知機能低下抑制作用と視床下部α-MSHの作用による抗肥満・高血糖改善作用を肥満・糖尿病モデルob/obマウスで確認することを目的とする。本研究計画は本学動物実験に関する倫理委員会の承認のもと、2020年度の研究計画に従い、野生型およびob/obマウス(4-6週齢オス、各群n=3)へのantimiR核酸薬経鼻反復投与の実験条件(投与方法、用量など)等について検討中であり、実験条件が決まり次第、antimiR核酸薬(antimiR-96-5p)経鼻反復投与後の体重、血糖値、および海馬神経GSH量の変化を確認すると同時に脳組織におけるGTRAP3-18やα-MSH発現量の変化について比較検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年4月以降の新型コロナ感染拡大に伴う研究活動の休止や勤務制限(在宅勤務)、および試薬納品の遅延などにより研究計画の遂行に大きな遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の実施計画に従い、野生型およびob/obマウス(4-6週齢オス、各群n=3)へのantimiR核酸薬経鼻反復投与実験の条件検討を行う。投与開始15日後に脳組織を採取し、antimiRの海馬および視床下部への中枢移行性を共焦点蛍光顕微鏡下で確認する。投与量は、これまでの実験結果を参考に、1-10 nmol(各群n=3)のantimiRを0.1% diethyl pyrocarbonate(RNase阻害薬)/ddH2Oに溶解し、イソフルランによる全身麻酔下でマウス鼻腔内に投与する。同時にnegative control antimiRを用いて同様の処置を行い比較検討する。複数回(各群n=3)の反復投与実験全てにおいて中枢移行が確認できる最小投与量を決定する。投与量を決定した後、生後4週の野生型およびob/obマウスへantimiR核酸薬を3日毎に12週間経鼻投与し、摂食量や体重、および血糖値を経時的に測定する。12週間の経鼻投与終了後の脳組織を用いて海馬抽出液中のGTRAP3-18発現量をWestern Blot法にて、血中および視床下部抽出液中のα-MSHをELISA法にて測定する。また、海馬抽出液中のGSH量をHPLC法にて測定する。上記実験の結果をnegative control群とantimiR投与群とで比較検討する(各群n=5~10)。変化が明らかでない場合は、経鼻投与量を増量(~10 nmol)し再検討する。
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Causes of Carryover |
2020年4月以降の新型コロナ感染拡大による研究活動の休止や勤務制限(在宅勤務)、および実験試薬の納品遅延などにより研究費の使用額が減ってしまったため、2020年度に行う予定であった実験は次年度以降に行うこととする。
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