2021 Fiscal Year Research-status Report
Examination of the mechanism of the stress inhibitor on the brain-cardio-renal syndrome.
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20K07300
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
中田 徹男 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30237292)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | トウキ葉 / リグスチリド / GABA / α-リノレン酸 / 自律神経活動 / 食塩負荷高血圧 / 脳微量灌流法 |
Outline of Annual Research Achievements |
【方法】雄性Wistar STラットの片腎摘出後、飲料水として1.5%食塩水を2週間投与し、高血圧、ストレス易反応性モデルを作成した。これをControl群とし、0週よりトウキ葉凍結乾燥粉末を当帰(30%エタノール抽出:92%含有粉末)500mg/kg体重とリグスチリド含量を同じにし、固形飼料に混ぜた群(トウキ葉群)を作成した。また、別の系として0.6mLまたは1.2mLのα-リノレン酸を1日1回経口投与する群(High oil群、Low oil群)を作成した。1週毎にTail cuff法による収縮期血圧、心拍数を測定し、代謝ケージを用いて24時間尿中カテコラミンの測定(HPLC法)を行った。麻酔下にラットの大腿動脈にカニューレを挿入し、24時間の回復期の後、覚醒下の動脈圧波形をフラクレット®Jr.2システムで「自律神経活動の解析」をい、Shaker stress前後の自律神経活動の変化を血圧、心拍数と比較検討した。Shakerストレスに対する心血管反応が予想よりも小さく、群間比較が困難なため、ス テ ン レス 製 金 網(30cm×30cm,20メ ッ シ ュ)に よ る拘 束 ス ト レス下に鼻部にポンプとノズルを介するair-jetをあて、ストレス負荷を実施した。 【結果】トウキ葉、αリノレン酸投与群で、食塩負荷による昇圧反応は抑制された。Shakerストレス負荷時の昇圧反応はαリノレン酸投与により抑制された。air-nose jetストレスの強度を変えることでストレス負荷に対する心血管反応のベースの程度をコントロールできるようになったため、群間比較したところ、トウキ葉投与群で、ベースの血圧上昇の抑制ならびにストレス負荷時の心血管反応の抑制効果を認めた。そこでBrain microdialysis法を行い、脳内カテコラミン等の解析を行い、現在検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りの進捗状況である。ストレス抑制物質として、これまでの検討で用いてきた当帰エキス(当帰根のエタノール抽出物質)に代えて、より簡便に入手可能なトウキ葉とα-リノレン酸を用いた。またShakerストレスが反応耐性を生じる可能性についても考察し、air-jet noseストレス負荷の方法を工夫、変更することで、ストレスの程度のコントロールがより簡便に行えることが分かり、今後の検討に生かすことができると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
実験計画に従い、今年度はコロナ禍の初年度の遅れを取り戻す目途が立ったことは好ましいことであると考える。当初の最大の目標であるストレスと中枢神経系・自律神経系の関与を検討するために、今年度は計画にもあるBrain microdialysis法を用い、脳内神経伝達物質の動態と心血管反応の関係についてより重点的に検討することで、ストレス耐性物質の作用機序についてより詳細な検討が行えることになると考える。またストレス負荷に関しては、ストレス易感受性モデルを作成後に、急性のストレス負荷による自律神経活動、心血管反応の検討が主体となっているが、可能であれば、慢性のストレス負荷を加えることで高血圧進展や自律神経活動に及ぼす影響ならびにストレス耐性物質の効果について検討できればより興味深い研究になるのではないかと考えている。慢性の動物飼育環境が限られているため、負荷のかけ方にも工夫が必要と考えていたが、今年度より簡便な、拘束負荷下のair-jet noseストレスを用いることでストレス負荷の程度の絶対評価も可能となり、慢性ストレス負荷にも可能性が見いだせたように思われる。また、脳心腎連関のうち、腎障害に関しては代謝ケージを用いた尿タンパク排泄量で検討を行っているが、障害程度が必ずしも大きくないことから、ストレス抑制物質投与群での保護効果を有意に判定するに至っていないことも今後の検討課題であると考える。以前の検討で、腎臓内の一酸化窒素(NO)と高血圧・中枢の関係についても予備検討を行っていることから、microdialysis法を腎臓にも応用することで、腎組織内NOの動態についても心血管反応との検討が可能となるかもしれないと考えている。 最終年度につき、研究内容のまとめおよび学会、論文発表を念頭に、本課題研究の推進を考えて進める予定である。
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Causes of Carryover |
初年度のコロナ禍における繰り越し額の影響で、今年度も若干の予算の繰り越しが生じたがほぼ予定通りの執行状況である。
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Research Products
(14 results)