2020 Fiscal Year Research-status Report
遠位尿細管におけるNa+/Ca2+交換輸送制御の分子機序解明
Project/Area Number |
20K07302
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
岩本 隆宏 福岡大学, 医学部, 教授 (20300973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜多 知 福岡大学, 医学部, 講師 (50797107)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イオン輸送体 / Ca2+シグナル / 遠位尿細管 / Ca2+再吸収 / 遺伝子改変マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
1型Na+/Ca2+交換輸送体(NCX1)は遠位尿細管の基底膜側に主に発現し、Ca再吸収に関与すると考えられている。本研究では、基底膜側へのNCX1発現局在が各種受容体刺激により調節され、腎臓のCa再吸収が制御されることについて、in vitro & in vivo実験系により実証することを目的としている。本研究の成果により、Ca代謝異常症(高Ca血症、低Ca血症)に関する病因・病態の解明が進むとともに、新規治療法の開発に繋がることが期待される。令和2年度の研究では、野生型NCX1および変異型NCX1(膜局在異常型)のEGFP融合タンパク質をMDCK細胞に遺伝子導入して、NCX1-EGFP蛍光観察により、基底膜側へのNCX1の発現局在を解析した。また、各種受容体刺激時のCa2+シグナルとNCX1発現局在の時間的・空間的因果関係を調べるため、Ca2+蛍光色素によるCa2+シグナルとNCX1-EGFP蛍光の同時イメージングを実施した。さらに、NCX1発現局在とNa+依存性Ca2+輸送能の因果関係を検証するため、各MDCK細胞への各種受容体刺激時の45Ca2+取込速度を測定した。なお、NCX1を介するCa2+輸送能は、特異的NCX1阻害薬SEA0400の抑制効果により特定した。令和3年度の研究では、MDCK細胞発現系のみならず、生理的な培養遠位尿細管細胞を用いて、生理的発現レベルの内因性NCX1を標的として、免疫多重染色や免疫沈降実験により、またNCX機能解析により、検証実験を実施する。さらに、研究が順調に進んだ場合は、遠位尿細管特異的NCX1遺伝子改変マウスを用いたin vivo実験により、基底膜側へのNCX1発現局在機序を詳細に追究して行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書の研究内容に従って、令和2年度は「遠位尿細管基底膜側へのNCX1発現局在が受容体刺激により調節されること」をin vitro実験系により実証するため、野生型NCX1および変異型NCX1のEGFP融合タンパク質をMDCK細胞に遺伝子導入して、各種受容体刺激下で、NCX1-EGFP蛍光観察により基底膜側へのNCX1発現局在機序について変異解析を実施した。特に、研究内容の変更や研究実施上の大きな問題は生じていない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、令和2年度で得られたin vitro実験の研究成果について、生理的な培養遠位尿細管細胞を用いて生理的な発現レベルの内因性NCX1を標的として検証実験を実施するとともに、遠位尿細管特異的NCX1遺伝子改変マウスを用いたin vivo実験により、基底膜側へのNCX1発現局在機序についてさらに研究を進めて行く予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、遺伝子改変マウスの搬入が偶発的トラブルで遅れ、その搬入経費が使用できなかったためである。この遺伝子改変マウスは令和3年度に搬入予定であり、その経費分を使用する計画である。
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Research Products
(6 results)