2020 Fiscal Year Research-status Report
細胞の恒常性維持における鉄シャペロン分子の機能解析
Project/Area Number |
20K07309
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
簗取 いずみ 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (40454847)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 鉄シャペロン / 鉄代謝 / 鉄輸送体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、二価鉄が細胞質ゾル内を安全な形で目的のタンパク質・細胞内小器官へと輸送される仕組みを解き明かし、酸化還元・呼吸をはじめとする細胞の生命活動の根源的テーマに取り組むものである。鉄シャペロン分子PCBPsは二価鉄輸送体から鉄を受け取った後、様々な分子へ鉄を輸送する。その際、PCBPsがどのような機構によって細胞質ゾル内を移動するか、またどのような機構で結合分子を決定しているかは全く不明である。 鉄シャペロン分子PCBPsには4つのオルソログが存在するが、いずれも二価鉄結合能をもち、鉄輸送体から放出された鉄を二価鉄のまま輸送することができる。PCBPsの中でもPCBP2は鉄取り込みを行う二価鉄輸送体DMT1や鉄排出を行う輸送体FPN1に結合してこれらの輸送体との間で直接鉄の授受を行う。 そこで、本研究では、鉄の利用が最も多いミトコンドリア、また分子の合成に鉄を必要とする小胞体への鉄輸送機構について解析することを目指し研究を開始した。 ミトコンドリア内膜には二価鉄輸送体ミトフェリンが存在しミトコンドリアへの鉄の輸送を制御するが、ミトコンドリア外膜での鉄透過機構は不明である。ミトコンドリア外膜の鉄透過機構を探索すべく、鉄シャペロン分子との結合分子探索を行った。 また鉄過剰時には小胞体への鉄蓄積も確認されるが、鉄の小胞体膜透過機構は不明である。本研究において、鉄輸送に関わる新たな輸送体を見出すことに成功し、その機能解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、小胞体やミトコンドリアへの鉄の輸送機構の解析を目指していた。そのうち、小胞体への鉄輸送の解析は順調に進んでおり、輸送体の同定、その機能解析を随時行っている。またミトコンドリア外膜での鉄輸送探索では、鉄シャペロン分子に結合する分子の探索を進めており、複数の候補の中から実際に輸送体として機能する分子を解析している。さらに小胞体への鉄輸送機構の解析を行う際に、新たに鉄による発現制御を受ける分子を見出した。そのため、この分子についても解析を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の3項目を中心に解析を進める予定である。 小胞体への鉄輸送機構の解明と、輸送体の変異に伴う表現型の解析。さらには、鉄シャペロン分子と小胞体鉄輸送体との結合様式の詳細な解析を進める。 また、新たに見出した鉄により制御を受ける分子は、細胞内鉄量を調整することに大きく関与していることが予想される。そこで、この分子と細胞内鉄代謝の関連性を追求するとともに、鉄代謝における役割を解析する。
|
Research Products
(2 results)