2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of splicing-code with RNA-specialized machine learning system toward overcoming hereditary diseases having splicing misregulations
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20K07310
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
飯田 慶 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (00387961)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | RNAスプライシング / 遺伝性疾患 / バイオインフォマティクス / 機械学習 / ケミカルバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、RNAスプライシングの異常に起因する疾患の高精度な探索および、バイオインフォマティクス解析に基づく治療介入方法の提案を行うことを目指して、スプライシング暗号の解読を目指すものである。この目標に対して、スプライシング研究分野でデファクトスタンダードとなりつつあるIllumina社の研究グループが開発したスプライシング評価システムであるSpliceAIを重要な研究ツールの1つと位置づけ、これを用いて、東北メガバンクが提供している800万件以上のSNPs情報に対する網羅的なスプライシング変化の評価を実施・完了した。 令和3年度の優先課題に設定していた、深層学習モデルからのスプライシング制御配列候補情報の抽出については、本件が塩基配列情報を取り扱っているという特性を生かし、入力情報のバリエーションを準備することで達成した。当初予定していた変分オートエンコーダの様要からは予定の変更となったが、より可視性・再利用性に優れた形で制御配列候補を提示する仕組みとなる。さらにこれを進め、個々のスプライスサイトにおいて制御配列候補を提示するシステムの開発を進めている。 また、低分子化合物によるスプライシング介入時における薬効・副反応の評価に用いるためのSpliceAIの深層学習モデルを再構築する試みについても、進展させることができた。 さらに本研究で得られた知見・解析ノウハウに基づき、自然免疫応答に重要な役割を持つOAS1遺伝子におけるsplicing QTLがCOVID-19の重症化に関与するメカニズムを解析し、低分子化合物を用いたスプライシング操作が、ヒト細胞にSARS-CoV-2感染への抵抗性を付与できることを示した。本成果は査読中論文としてbioRxivから公開され、またCold Spring Harbor Meetingや分子生物学会年会にて口頭発表での報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ニューラルネットワークに基づくスプライシング評価システムであるSpliceAIを用いた計算の大規模な実施や、本研究の目的に対応させるためにSpliceAIからスプライシング制御配列候補を抽出するための付随プログラムの開発について進捗を得ることができた。一方でSpliceAIから得れた知見を「RNA制御特化型・ニューラルネットワークモデル」につなげる点においては、開発がやや難航している。SpliceAIから得られるスプライシング制御配列候補の情報が膨大でこれらの集約に想定以上の時間を要しているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度に予定より進行が遅れた「RNA制御特化型・ニューラルネットワークモデル」の開発に注力し、当初のスケジュール通りに戻すとともに、3か年計画の最終年度として、結果の集約・公開について進めていく。具体的には開発したニューラルネットワークモデルを用いたスプライシングの評価の実施、および、その結果についてインターネット等から参照できる状態を目指す。
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Causes of Carryover |
令和3年度に参加予定だった国際学会が、コロナ禍の影響でオンライン開催となったため、予定通りに執行されない旅費が生じた。また、いくつかRNA-seq等のデータ取得を行う予定であったが、当初の想定以上に国際的なデータシェアリングが加速し、自前でデータを取得しなくても研究できる範囲が広がった。生じた差額については、独自性の高い化合物処理条件下でのRNA-seqデータの取得や、研究の高度化に寄与する備品の購入に組み替える計画である。
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Remarks |
該当なし
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Research Products
(3 results)