2022 Fiscal Year Research-status Report
Lysosomal exocytosisを介した細胞の酸性環境適応機構
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20K07312
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船戸 洋佑 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60505775)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | PRL / 酸性環境適応 / がん悪性化 / lysosomal exocytosis |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は細胞が環境pHの変動、特に腫瘍内で見られる酸性化に適応する仕組み、およびその医学生物学的意義を解明するものである。これまでにがん悪性化のドライバー分子PRLの高発現細胞で見られる環境pH応答性の変化を利用したゲノムワイドなスクリーニングから、候補遺伝子を同定してきた。2022年度は特にその中でもスコアが高かった遺伝子にフォーカスして、その遺伝子破壊株の作成とその評価を行った。その中にはPRLによる酸性環境適応がほぼ完全に消失するものも含まれており、また新たな酸性環境適応に関わる分子を見つけることができている。またPRLによる酸性環境適応の原因と見つけているlysosomal exocytosisについてもリソソーム膜のマーカー分子LAMPの細胞膜への露出度合いをFACSで調べたり、リソソーム中の酵素b-hexosaminidaseの培地中放出などを測定することによって評価した結果、やはりPRLによる誘導を消失できていた。またPRLによるリソソームからと思われるカルシウム放出も消失していた。このことからこれらの新規分子についてはPRLによるlysosomal exocytosisおよび酸性環境適応に必要な分子と考えられ、今後さらに細かく解析してゆく予定である。すでに特異的抗体の作成や、がん細胞での遺伝子破壊株の作成も行っており、内在性蛋白質の局在等の解析や、腫瘍形成能への評価なども含めた詳細な解析を実施することで、当該分子が酸性環境適応に関わる仕組みとその重要性を明らかにできると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り酸性環境適応およびlysosomal exocytosisに関わる新規分子を同定し、その重要性についても一定レベルですでに明らかにできている。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した特異的抗体を用いて当該分子の局在やそこで果たす役割について調べるほか、免疫沈降法による結合分子解析等も実施する。またがん細胞株での当該分子の破壊株も作成しており、免疫不全マウスに移植することで腫瘍形成能に当該分子の破壊が与える影響についても明らかにする。
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Causes of Carryover |
新たに酸性環境についてその重要性を発見した遺伝子については、その詳細を解析することが極めて重要であり、その解析を今後これまでの予定を変更してでも行うことが重要であると判断したため。当該実験に必要な試薬およびマウスの飼育代等に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)