2020 Fiscal Year Research-status Report
インスリン様成長因子等による側鎖型オキシステロール産生調節を介した新規情報伝達
Project/Area Number |
20K07314
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
杉本 博之 獨協医科大学, 医学部, 教授 (00235897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安戸 博美 獨協医科大学, 医学部, 助教 (10704885)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オキシステロール / シトクロム P400 46a1 |
Outline of Annual Research Achievements |
コレステロールは炭化水素鎖が酵素によりヒドロキシル化を受けると生理活性を有する側鎖型オキシステロールに代謝される。NIH3T3細胞を用いて側鎖型オキシステロール25-hydroxycholesterol(25-HC)の産生酵素cholesterol 25-hydroxylase(Ch25h)の転写や酵素活性に注目し研究を進めてきたが、Ch25hはone-exon geneのためRT-PCRによる転写産物がmRNA量を反映するものではなく、ゲノムDNAのコンタミによるアーティファクトを観察してきた可能性が考えられる様になった。そこでNIH3T3細胞由来のtotal-RNAをDNAase処理してからCh25h-RT-PCRを施工したところCh25hのmRNAが認められなくなった。RTを行わずCh25h-RT-PCRを施工したところ、RTの施工が無くてもPCR産物が同様な量で認められた。以上からNIH3T3細胞にはCh25h-mRNAの転写が認められないと結論付けた。 そこで他のオキシステロール産生酵素の転写に注目し解析した。その結果、NIH3T3細胞にはCytochrome P450 46a1 (CYP46a1)が発現している事を見出した。この酵素の転写はfetal bovine serum(FBS)添加により抑制され、FBS中の本転写抑制因子がインスリン様成長因子-II(IGF-II)であることをつきとめた。CYP46a1はコレステロールから24S-ヒドロキシコレステロール(24S-HC)を産生することが知られていたが、当研究室においてd-cholesterolを基質にし産生されるオキシステロールを同定し、25-HCも産生されることが示された。本研究の目的は、CYP46a1に注目しインスリン様成長因子等によるシグナル伝達で、側鎖型オキシステロールの関与を解明することである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ch25hはone-exon geneのためRT-PCRによる転写産物がmRNA量を反映するものではなく、ゲノムDNAのコンタミによるアーティファクトを観察してきた可能性が考えられる様になった。そこで他のオキシステロール産生酵素に注目し解析を進めた。これまでにオキシステロール産生酵素としてシトクロム P450 46a1(CYP46a1)(24S-ヒドロキシコレステロール(24S-HC)産生)、CYP27a1(25-HC産生)、CYP3a11(25-HC産生)が知られている。これらコレステロール水酸化酵素のどれがNIH3T3細胞に発現しているのか調べたところ、主にCYP46a1の転写の十分な発現が認められた。さらにCYP46a1の転写がFBS添加により抑制されること、FBS中のインスリン様成長因子等により抑制を受けることをFBSをHPLCで分画した質量解析から見出した。CYP46a1はコレステロールから24S-ヒドロキシコレステロール(24S-HC)を産生することが知られていたが、当研究室において高発現系を利用したd-cholesterolを基質にし産生されるオキシステロールを同定し、25-HCも産生されることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにオキシステロール産生酵素として、cholesterol 25-hydroxylase(Ch25h)(25-hydroxycholesterol(25-HC)産生)、シトクロム P450 46a1(CYP46a1)(24S-ヒドロキシコレステロール(24S-HC)産生)、CYP27a1(25-HC産生)、CYP3a11(25-HC産生)が知られているが、NIH3T3細胞に十分発現している酵素はCYP46a1だけであった。さらにCYP46a1の転写がFBS添加により抑制されること、FBS中のインスリン様成長因子等により抑制を受けることをFBSをHPLCで分画した質量解析から見出した。以上から、現時点で我々は、NIH3T3細胞内オキシステロールの産生は、インスリン様成長因子等によりCYP46a1を介して制御を受けていると推測している。 今後はCYP46a1のKnock out細胞を作成し、インスリン様成長因子等により細胞を刺激した場合細胞内のオキシステロール量が変化するのか否か、細胞内のシグナル伝達が変化するのか否かに注目し研究を進める。
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Causes of Carryover |
オキシステロールを産生する酵素の活性調節機構を解析するためコレステロール25-ヒドロキシラーぜに注目してきた。その後研究が進み、それぞれの細胞により主体となり関与する酵素が異なることが分かってきた。NIH3T3細胞においてはシトクロムP46a1がより重要であることが明らかになった。研究遂行のためシトクロムP46a1の市販抗体を購入しようとしているが、なかなか納品にならないことが重なり来年度の使用額が生じた。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Imaging of lysophosphatidylcholine in an induced pluripotent stem cell-derived endothelial cell network.2020
Author(s)
Shimizu Y, Nakamura Y, Horibata Y, Fujimaki M, Hayashi K, Uchida N, Morita H, Arai R, Chibana K, Takemasa A, Sugimoto H.
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Journal Title
Regen Therapy
Volume: 14
Pages: 299-305
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] L-type amino acid transporter 1, LAT1, in growth hormone-producing pituitary tumor cells.2020
Author(s)
Satou M, Wang J, Nakano-Tateno T, Teramachi M, Suzuki T, Hayashi K, Lamothe S, Hao Y, Kurata H, Sugimoto H, Chik C, Tateno T.
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Journal Title
Molecular Cell Endocrinology
Volume: 515
Pages: 110868
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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