2022 Fiscal Year Research-status Report
インスリン様成長因子等による側鎖型オキシステロール産生調節を介した新規情報伝達
Project/Area Number |
20K07314
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
杉本 博之 獨協医科大学, 医学部, 教授 (00235897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安戸 博美 獨協医科大学, 医学部, 助教 (10704885)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オキシステロール / Cytochrome P450 46a1 / 24S-ヒドロキシコレステロール / IGF-II / Fetuin-B / NIH3T3細胞 / T98G細胞 / N2A細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
コレステロールは炭化水素鎖が酵素によりヒドロキシル化を受けると生理活性を有する側鎖型オキシステロールに代謝される。NIH3T3細胞に側鎖型オキシステロールの1つである24S-ヒドロキシコレステロール(24S-OHC)を産生するCytochrome P450 46a1 (CYP46a1)が発現している事を見出した。この酵素の転写はfetal bovine serum(FBS)添加により抑制され、FBS中の本転写抑制因子を逆相HPLC等のカラムにより部分精製し質量分析装置を用いて同定したところインスリン様成長因子-II(IGF-II)であることをつきとめた。この結果はBBA-MCBL 2022、に掲載となった。脳内のコレステロール代謝はBBBにより外界からは仕切られている。このためBBBを通過できるオキシステロール産生により脳内コレステロール量は制御されている。脳内のコレステロール代謝の異常はアルツハイマー病にも関与することから、これまでの研究結果が脳内の細胞にも共通するのか否か脳由来のヒトGlioblastoma 細胞(T98G細胞)を用いて確認した。FBSによる転写抑制の結果はNIH3T3細胞と同じであったがIGF-IIによって転写が抑制されなかったことから、他の因子をFBS中からの同定を試みた。部分精製から質量分析装置によりFetuin-Bであることが同定された。市販のFetuin-Bでも転写抑制が認められた。Fetuin-Bはアルツハイマー病にも関与することが知られている。またマウスNeuroblastoma細胞(N2A細胞)ではFBSによCYP46a1の転写は亢進することが認められ他の細胞とは異なることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初めにNIH3T3細胞を用い、側鎖型オキシステロールの1つである24S-ヒドロキシコレステロール(24S-OHC)を産生するCytochrome P450 46a1 (CYP46a1)の転写はfetal bovine serum(FBS)添加により抑制され、FBS中の本転写抑制因子がIGF-IIであることをつきとめた。この結果はBBA-MCBL 2022、に掲載となった。脳内のコレステロール代謝は外界とは仕切られており、オキシステロール産生によりBBBを通過することで脳内コレステロール量は制御されていれる。脳内のコレステロール代謝はアルツハイマー病にも関与することが知られている。脳由来ヒトGlioblastoma 細胞(T98G細胞)のCYP46a1細胞はFBSにより抑制されたが、IGF-IIによる抑制は受けなかった。T98G細胞のCYP46a1に対するFBS中の抑制因子はFetuin-Bであることを部分精製と質量分析装置から突き止めた。またマウスNeuroblastoma細胞(N2A細胞)ではFBS添加によりCYP46a1の転写は亢進することが認められGlioblastoma 細胞とは異なることが示唆された。今後はさらに種を超えて他の脳由来の細胞を用いて確認する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
初めにNIH3T3細胞を用い、側鎖型オキシステロールの1つである24S-ヒドロキシコレステロール(24S-OHC)を産生するCytochrome P450 46a1 (CYP46a1)の転写はfetal bovine serum(FBS)添加により抑制され、本転写抑制因子がFBS中のIGF-IIであることをつきとめた。この結果はBBA-MCBL 2022、に掲載となった。脳内のコレステロール代謝はアルツハイマー病にも関与することが知られている。そこで脳由来ヒトGlioblastoma 細胞(T98G細胞)を用いて検討した。CYP46a1細胞はFBSにより抑制されたが、IGF-IIによる抑制は受けなかった。T98G細胞のCYP46a1に対するFBS中の抑制因子を同定したところFetuin-Bであることを突き止めた。Fetuin-Bはアルツハイマー病に関与することが知られている。またマウスNeuroblastoma細胞(N2A細胞)ではFBS添加によりCYP46a1の転写は亢進することが認められGlioblastoma細胞とは異なることが示唆された。今後他のヒト由来Neuroblastoma細胞を用いても確認する予定である。転写促進因子の存在が示唆されれば、FBSを部分精製し質量分析装置によりこの転写促進因子を同定する予定である。
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Causes of Carryover |
これまではオキシステロール合成酵素の転写を抑制する因子の同定を行い、IGF-IIやFetuin-Bであることを突き止めた。今後ヒトNeroblastoma細胞を用いたCyp46a1の転写制御機構の研究や、この転写がFBSにより促進される場合本促進因子を同定することを新たな研究目標とし研究を進めたいと考えている。そのための資金として利用したい。
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Research Products
(1 results)