2020 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質のメチル化修飾を介した新たな骨格筋量の制御機構の解明とその臨床応用
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20K07315
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
常陸 圭介 藤田医科大学, 総合医科学研究所, 助教 (10508469)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 筋萎縮 / メチル化酵素 / 翻訳後修飾 / 筋機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
老化や疾患で生じる骨格筋量の減少(筋萎縮)は、高齢者や患者の活動量や生存率を低下させ、健康寿命の延伸を妨げる主要因である。しかしながら、安全で有効な筋萎縮の治療法はいまだ存在しておらず、筋萎縮の治療法を確立することは超高齢化社会を迎えた本邦にとって喫緊の課題となっている。我々はこれまでに、メチル化酵素Mettl21eのノックアウト(KO)マウスを作製し、Mettl21eの欠損により全身の骨格筋の萎縮が生じることを見出している。興味深いことに、筋萎縮において通常認められるタンパク質の分解の亢進はこのマウスでは観察されず、代わりにタンパク質のメチル化修飾の消失が観察された。よって、メチル化修飾レベルの変化を介して骨格筋量を制御する新たな分子機構が存在している可能性が非常に高い。 本年度は、メチル化修飾の有無によりこの酵素の標的となるタンパク質の機能に変化が生じるかを明らかにするために、野生型とMettl21e KOマウスの骨格筋からタンパク質を生化学的に精製し、その活性の変化を生化学的、生物物理学的に測定した。これにより、メチル化修飾の有無によってタンパク質の機能に影響が生じることを明らかにした。また、メチル化修飾を特異的に認識する非常に高感度なモノクローナル抗体を作製し、この抗体を用いて骨格筋組織におけるメチル化の局在を明らかにした。さらに、ヒト骨格筋細胞を筋管細胞へと分化させて、ヒトの筋管細胞への高効率な遺伝子導入手法の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画に従い、メチル化の有無によるタンパク質の活性の変化や、特異的なモノクローナル抗体の作製とその抗体を用いた解析を行った。予想した結果が得られており、計画通りに研究が進んでいると考えられる。また、次年度以降に必要なヒト骨格筋細胞への遺伝子導入方法の検討や、遺伝子改変マウスの作製準備も進めている。そのため、現在までの研究の達成度は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、メチル化修飾の有無による筋タンパク質の構造への影響の解析や、遺伝子改変マウスの作製とその組織解析を行う。具体的には、遺伝子改変マウスを用いて筋重量の変化や、筋断面積の測定、HE染色による筋組織へのダメージの有無の観察、PCRやウエスタンブロット、免疫染色による分子レベルでの影響の解析を行うことで、筋萎縮とメチル化修飾の関係を明らかにする。また、ヒト骨格筋細胞を用いたメチル化酵素用いたヒト骨格筋量の制御方法の開発も合わせて進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
効率的な研究費の使用により繰越金が発生したため、次年度の研究費と合わせて分子生物学実験に使用する。
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Research Products
(7 results)