2020 Fiscal Year Research-status Report
ストレス応答転写制御に果たす小Maf群因子の機能とがん悪性化との関連性
Project/Area Number |
20K07335
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
勝岡 史城 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (30447255)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | Nrf2 / 小Maf / 転写制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
塩基性領域-ロイシンジッパー(bZIP)型転写因子であるCNC群因子と小Maf群因子(sMaf)のヘテロ二量体は、様々な生体防御遺伝子群の発現を制御する。また、CNC-sMaf二量体は、がん細胞の悪性化との関連も報告されている。ヒトを含む脊椎動物では、3種類のsMaf群因子(MafF, MafG, MafK)が同定されているが、各因子の機能の違いは充分解析されていない。本研究では、3種類のsMaf群因子の機能的な差異を明らかにし、細胞の恒常性維持・がん細胞の悪性化獲得能との関連を解明する。 本研究では、CNC群因子の一つNrf2とsMaf因子をリンカーペプチドで融合させたテザード分子を構築し、これをsMaf群因子の三重欠失細胞(MafF-/-:MafG-/-:MafK-/-)に導入することで、内在性のsMafを含む二量体の干渉を受けずに、導入したテザード分子の機能を特異的に評価する手法を用いる。令和2年度は、3種類のsMaf間で最も多様性に富むC末領域に着目し、その領域を欠失させたMafG(MafGΔC)とNrf2のテザード分子を作成し、予想される分子量のタンパク質として発現し、レポーター解析によって機能的である事を確認した。この分子をsMaf群因子の三重欠失細胞に導入することで、安定細胞株を樹立した。同細胞と野生型Nrf2-MafGテザード分子を発現する細胞株を用い、テザードタンパク質の発現量、細胞内局在、RNAシークエンスによる遺伝子発現解析を実施した。現在、遺伝子発現解析データの情報解析により、MafG分子のC末領域の機能を探索している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小Maf群因子間のアミノ酸保存性に着目し、C末欠失分子の評価を優先して研究を開始した。既に同分子を含むテザード分子安定発現細胞株を樹立し、RNAシークエンスデータの取得した。C末部分の機能に関わる知見も得られており、上記の進展と判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
テザードNrf2-MafGΔC分子発現細胞の解析を進める。また、3種類のsMaf因子で進化的に最も距離のあるMafFに焦点を当て、テザードNrf2-MafF分子を作成し、同様に安定発現細胞株を樹立し、機能解析を進めていく。
|
Causes of Carryover |
発現ベクター構築のデザインの段階で、論文等の情報により設計を見直したため、一定期間を要した。RNAシークエンスによる遺伝子発現解析では、小規模解析により予備的な評価を行った後に、本解析を行う計画とし、当該年度の使用額が予定より減少した。 RNAシークエンスによる遺伝子発現の予備的な解析では、十分な品質で解析が実施できている事が確認されたため、次年度に本解析を実施していく。
|
Research Products
(2 results)