2022 Fiscal Year Research-status Report
ストレス応答転写制御に果たす小Maf群因子の機能とがん悪性化との関連性
Project/Area Number |
20K07335
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
勝岡 史城 東北大学, 未来型医療創成センター, 教授 (30447255)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Nrf2 / 小Maf / 転写制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
塩基性領域-ロイシンジッパー(bZIP)型転写因子であるCNC群因子と小Maf群因子(sMaf)のヘテロ二量体は、様々な生体防御遺伝子群の発現を制御する。ヒトを含む脊椎動物では、3種類のsMaf群因子(MafF, MafG, MafK)が同定されているが、各因子の機能の違いは充分解析されていない。本研究では、3種類のsMaf群因子の機能的な差異を明らかにすることを目的として開始した。手法としては、Nrf2とsMaf因子をリンカーペプチドで融合させたテザード分子を構築し、これをsMaf群因子の三重欠失細胞に導入することで、導入したテザード二量体分子の機能を特異的に評価する手法 (Tethered Dimer Rescue)TDR系を用いて解析を実施している。
昨年度までに、テザード二量体発現プロモーターの変更と安定細胞株のクローン化による解析条件の最適化を行い、テザード二量体の機能を定量的に評価出来る環境を整えることができた。この結果、今年度、純粋にテザードNrf2-MafG二量体(T-N2G)の量に依存して、Nrf2の標的遺伝子群が多段階に活性化される事を明らかにする事ができた。また、T-N2Gの核内局在について解析を行い、別のCNC因子であるp45とは異なり、核マトリックス濃縮分画とは異なる核可用性分画に多く存在する事を明らかにした。また、この核内局在に対してMafGのC末端は、大きく影響を与えないことも確認した。RNAシークエンスの結果、MafGのC末端を欠失したテザードNrf2-MafG二量体(T-N2GdC)は、T-N2Gと同等の標的遺伝子転写活性化を示した。よって、3種類のsMaf間で最も多様性に富むC末端領域がNrf2-sMafの転写活性化に必須ではないという知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小Maf群因子間のアミノ酸保存性に着目し、C末欠失分子の評価を優先したプロジェクトの機能解析で成果が出ている。特にTDR系の最適化により、テザード分子の発現量を確認した上で、定量的にその機能を評価出来るようになった事が、成果につながっている。その上で、p45との二量体において転写活性化に必須であるMafG分子のC末端領域が、Nrf2との二量体において転写活性化に必須ではないという興味深いデータが得られている。テザードNrf2-MafF分子の解析系についても構築しているが、こちらの解析の準備に時間を要している。以上の進捗を総合的に判断し、上記の進展と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
テザードNrf2-MafGdC分子の遺伝子発現データについて、RNAシークエンス解析を実施、より包括的に評価を行う予定である。また、テザードNrf2-MafFの機能解析も実施していく。
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Causes of Carryover |
本研究の開始2年目の時点で、Tethered Dimer Rescue (TDR) 系のアップデータを行っており、この結果、解析スケジュールが全体として半年から1年後ろ倒しとなっている。しかしながら、これらの変更により、より定量的で信頼性の高い結果が得られている。
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Research Products
(5 results)