2020 Fiscal Year Research-status Report
新規エピゲノム制御を介した造血器腫瘍の病態促進機構の解明
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20K07346
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
上田 健 近畿大学, 医学部, 准教授 (60585149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 昭教 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (60549567)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
KDM4B (Lysine demethylase 4B)は、ヒストンH3の9番目のリジン残基 (H3K9)、H3K36、H1.4K26のメチル化に対するヒストン脱メチル化酵素活性を有し、エピゲノム制御に機能する。8; 21 染色体転座を有する急性骨髄性白血病 (AML)で高発現が見られ、これまでのヒト細胞株と遺伝子欠損マウスを用いた解析から、KDM4B は8; 21 転座の疾患責任融合遺伝子産物RUNX1-RUNX1T1のクロマチンアクセシビリティに寄与して、白血病の病態を促進させることが明らかとなった。一方で、KDM4Bの酵素活性変異体を用いた予備実験の結果からは、酵素活性に依存しない細胞増殖促進機構の存在が示唆されている。 所属研究室では以前に乳癌細胞において、クロマチンリモデリング複合体の構成因子であるBRG1とKDM4Bが相互作用することを報告している。BRG1の発現を8; 21 染色体転座を有するヒト細胞株において抑制すると細胞増殖の低下が認められた。さらに8; 21転座を有するSKNO-1細胞の核抽出物に対する免疫沈降によって、内因性のKDM4BとBRG1の相互作用が示された。そこで次に、ヒトKDM4Bの機能的モチーフ・ドメインを欠く変異体にFLAGタグを付加して、これを293T細胞に発現させ、核抽出物に対して抗FLAG抗体を用いた免疫沈降を行った。BRG1の共沈を指標としてタンパク結合領域の同定を試みたところ、KDM4Bのプロリンリッチ領域を欠くと、BRG1との相互作用が著しく低下することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
KDM4Bとクロマチンリモデリング因子との相互作用に機能するタンパク質領域を同定することができた。概ね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
KDM4Bの機能ドメイン・モチーフを欠いた変異体を用いて、細胞増殖への影響を検討することを計画している。
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Causes of Carryover |
経費で購入予定としていた消耗品が当初の見積額より安価で購入できたことから、差額が生じ次年度使用額が発生した。次年度に主には、抗体や、機器の使用に必要な試薬など消耗品の購入に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)