2021 Fiscal Year Research-status Report
新規エピゲノム制御を介した造血器腫瘍の病態促進機構の解明
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20K07346
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
上田 健 近畿大学, 医学部, 准教授 (60585149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 昭教 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任准教授 (60549567)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞増殖におけるKDM4Bタンパク質の各機能ドメインの役割を検討した。まず8; 21転座を有する白血病細胞株SKNO-1に対して、KDM4Bのノックダウンを行い、shRNAの標的配列を含まないようなマウス野生型KDM4Bタンパク質 (ヒトタンパク質とのアミノ酸相同性約85%)を発現するcDNAの導入を試みたが、KDM4Bノックダウン後の細胞死を伴う増殖抑制効果が大きく、安定して増殖を回復させられる実験系の確立に至らなかった。次に代替案として、先にマウス野生型KDM4Bタンパクを発現した安定株を樹立したのち内因性のヒトKDM4Bをノックダウンしたところ、この細胞はノックダウン後も増殖が可能であることが明らかとなった。そこで、KDM4Bの各機能ドメイン・モチーフを欠いたマウスKDM4B変異体を作成して、これらが安定的に発現した細胞株を樹立し、次に内因性のヒトKDM4Bをノックダウンすることによって、KDM4Bのどの機能ドメインが増殖に寄与するかを検討した。その結果、いずれの変異体発現株においても、野生型発現株の場合と比較して、KDM4Bノックダウン後に40%以上の増殖抑制効果が認められ、中でもメチル化ヒストンタンパク結合モチーフであるPHDドメインまたはTudorドメイン欠損変異体を発現させた細胞においては、ノックダウン後の増殖が対照細胞、親株の場合とほぼ同等にまで強く抑制されることが判明した。以上のことから、KDM4Bによる増殖促進効果は各機能ドメインの統合的な効果によって担われており、これらのうち、メチル化ヒストンタンパク結合モチーフがより中心的な役割を担っているものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変異体発現細胞を用いてKDM4Bの白血病促進効果に寄与する機能ドメインを同定することができた、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
8; 21転座白血病におけるKDM4B発現の機構、および、KDM4Bの各機能ドメインによる白血病の病態促進機構のメカニズムを解析することを計画している。
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Causes of Carryover |
経費で購入予定としていた消耗品が当初の見積額より安価で購入できたことから、差額が生じ次年度使用額が発生した。次年度に主には、機器の使用に必要な試薬など消耗品の購入に使用する予定である。
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