2022 Fiscal Year Annual Research Report
新規エピゲノム制御を介した造血器腫瘍の病態促進機構の解明
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20K07346
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
上田 健 近畿大学, 医学部, 准教授 (60585149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金井 昭教 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任准教授 (60549567)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトKDM4B遺伝子の転写開始点の上流900bp以内の領域に、RUNX1またはRUNX1-RUNX1T1のコンセンサス配列および相補的塩基配列が2箇所存在する。8; 21 染色体転座を有する白血病細胞 (SKNO-1, Kasumi-1)を用いた既報のChIP-seqデータを再解析したところ、実際に、RUNX1-RUNX1T1タンパク質の結合が、この領域に一致して認められた。8; 21 染色体転座白血病では、KDM4BがRUNX1-RUNX1T1の直接の転写標的として発現誘導されている可能性が考えられる。そこで、ヒトKDM4B遺伝子の転写開始点上流900bpから転写開始点の下流100bpのDNA領域およびその一部をPCRにより増幅して単離し、3'側にルシフェラーゼ (Luc)遺伝子を組み込んだ Luc レポータープラスミドを作成した。このレポータープラスミドと、RUNX1-RUNX1T1またはRUNX1を発現するプラスミドを、転写コファクターとして働くCBFB発現プラスミドとともに、トランスフェクション効率の高いことが知られるヒト胎児腎細胞株HEK293に導入した。そしてLuc活性を指標にKDM4B遺伝子のプロモーター活性を評価した。その結果、CBFBとRUNX1の導入は、KDM4Bのプロモーター活性を上昇させることが明らかとなった。一方で、RUNX1-RUNX1T1による付加的な効果、またはCBFBとRUNX1-RUNX1T1の導入のみによる明らかなプロモーター活性の上昇は検出されなかった。以上のことから、RUNX1-RUNX1T1によるKDM4Bプロモーターの活性上昇には、さらなるコファクターの必要性や、8; 21 染色体転座白血病細胞に特有のHEK293細胞とは異なる細胞内コンテクストが必要であると考えられた。
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