2021 Fiscal Year Research-status Report
ヒト染色体15q11-q13自閉症領域の責任遺伝子同定と病態メカニズムの解明
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20K07348
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
玉田 紘太 神戸大学, 医学研究科, 助教 (10550957)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自閉症 / モデルマウス / 15q11-q13 / Necdin / スパイン |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト染色体15q11-13の重複は自閉症において高頻度に認められる染色体異常である。本研究代表者らは本領域を重複させた自閉症モデルマウス(15q dup)の作製し、自閉症様の行動学的異常、縫線核におけるセロトニン神経の活動低下、幼少期におけるシナプス代謝亢進など、種々の特徴的な異常を見出してきた。 本研究目的は、自閉症様行動異常、またはシナプス異常に対して、15q11-13領域におけるどの遺伝子が重要であるかを同定すること、またその分子メカニズムを明らか にすることである。本年度は①標的遺伝子(Ndn)の同定を報告する論文投稿、②昨年から引き続き、下流同定のためのFIN seqの立ち上げ、③FMRPとNDNの関係性の解析、④1細胞レベル、またはNdn過剰発現神経細胞における超解像顕微鏡を用いたスパインの詳細な解析、の4つの事項について行った。①:査読者より指摘された箇所について追加実験を行い、Ndn遺伝子が15q dupマウスの異常表現型において、重要であることを更に強く証明した。②:Ndn遺伝子のスパイン形成における機能は核内におけるNdnが重要と考えられる。そこで次に、Frozen Immunolabled Nuclei Sequencing (FIN seq, Amamoto et al.,2019)を用いてNdnが導入された細胞を抽出、mRNAの発現解析を行い、Ndnの直接的な下流因子を同定する。昨年に引き続き、本方法のセットアップを行い、ほぼ完了した。③:これまでに明らかでなかった脆弱X症候群の原因遺伝子、FMRPがNDNと分子的な関与がある可能性を見出し、現在その関係性について解析している。④:1細胞レベルでのNdn過剰発現神経細胞におけるスパインの解析を行うために、Supernovaシステム(Luo et al., 2016)を代表者の所属する研究室にて立ち上げた。また、超解像顕微鏡による、より詳細なスパインの解析を行うために、そのサンプルを準備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ndn遺伝子の15q11-q13における重要性を見出した論文が採択され、また、次なる方針もおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
Ndn下流遺伝子の探索については系は確立できたので、子宮内電気穿孔法によるNdn過剰発現マウスを調製するのみである。
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