2020 Fiscal Year Research-status Report
II型膜タンパク質CKAP4の個体レベルでの機能解析
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20K07357
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原田 武志 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30362768)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CKAP4 / ミトコンドリア / 神経変性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では個体レベルでのCKAP4の機能をミトコンドリア代謝と神経変性疾患に注目して解明することを目的とする。令和2年度はCKAP4 KOマウスの加齢に伴う表現型を網羅的に解析するため、CKAP4 KOマウスとコントロールの野生型マウスの複数のペアの交配を同時に開始し、出生日の近いCKAP4 KOマウスと野生型マウス各20匹程度得ることできた。今後、一年半から二年間の長期間飼育を行っていく予定である。既に二年間長期飼育を行ったCKAP4 KOマウスと野生型マウスの脳、心臓、肺、肝臓、腎臓を摘出してホルマリン固定した後、薄切しHE染色を行った。HE染色による組織観察では小脳プルキンエ細胞の部分的脱落以外は顕著な組織構造の異常は検出出来なかった。また、CKAP4がミトコンドリア代謝を制御するメカニズムを明らかにするため、野生型細胞とCKAP4 KO細胞の遺伝子発現の違いをRNAseqにより網羅的に解析し、CKAP4シグナルにより発現が制御される候補遺伝子を複数同定した。今後はこれらの候補遺伝子の発現の変動を若齢および老齢のCKAP4 KOマウスと野生型マウスの各組織から抽出したRNA、タンパク質を用いてqPCR, Western blotting等を行い確認する予定である。次に成体でのCKAP4の機能を明らかにするため、野生型マウスにCKAP4の機能阻害抗体を半年間、週に一回、200μg腹腔内投与を行った。半年後、脳、心臓、肺、肝臓、腎臓を摘出してホルマリン固定した後、薄切しHE染色を行ったが、組織構造の大きな異常は検出されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、CKAP4 KOマウスとコントロールの野生型マウスを各20匹程度、長期飼育を開始できている。
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Strategy for Future Research Activity |
CKAP4 KOマウスとコントロールの野生型マウスを各20匹程度、一年半から二年間長期飼育を行い、歩行の異常が観察された時点でロタロッドテスト等で運動失調の有無について検討する。運動失調が有意に観察された時点で、マウスを安楽死させ、解剖して各組織、特に脳に注目して形態学的解析を行う。 野生型およびCKAP4 KOマウスより大脳皮質神経細胞の初代培養を作製し、小胞体の構造の異常の有無をCalnexin染色や電子顕微鏡観察により明らかにする。さらにミトコンドリアの膜電位、ミトコンドリア内のカルシウム濃度、ATP産生について異常の有無を検討する。
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Causes of Carryover |
研究計画が順調に進んでいたため、当該年度に消耗品を新たに買う必要が無くなったため。 今年度からCKAP4 KOマウスの飼育費や分子生物学的解析を行うための消耗品が必要であり、消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)