2021 Fiscal Year Research-status Report
Regulation of cancer metastasis by molecular chaperone HSP70
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20K07360
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
塩田 正之 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (30381990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 健二郎 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (60597285)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プロテオスタシス / HSP70 / 腫瘍生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続いて膵癌細胞PANC-1のHSP70欠損細胞とこれにHSP70を再構成した細胞、HSP70過剰発現細胞を樹立し、これらの解析を進めた。HSP70によって抑制された細胞遊走は、HSP70再構成によって優位に回復した。また、三次元培養によるスフェロイドの形成能がHSP70欠損によって優位に上昇し、HSP70再構成によって抑制された。過剰発現細胞では、スフェロイドを全く形成しなかった。これらの分子機序を明らかにすべく、タンパク質、mRNAの発現を解析した。HSP70欠損によって発現亢進したカドヘリンやカテニンのタンパク発現はHSP70の再構成により抑制された。またHSP70過剰発現はカテニンの発現を抑制した。N-カドヘリンは転写レベルで制御を受けること、カテニンの中でもα-カテニン、γ-カテニンはHSP70の有無で細胞内局在が変化すること、β-カテニンは局在の変化を示さず、タンパク質分解レベルで制御されていることが明らかとなった。PANC-1野生型ではプロテアソーム阻害剤処置によってβ-カテニンの発現が優位に増加したことから、HSP70に依存したプロテアソーム系による分解制御を受けていることが判明した。異なるターゲット配列に対して追加で作製したHSP70欠損細胞でも同様の結果を得た。さらにsiRNAを用いたSP70ノックダウンによってもβ-カテニンの発現が上昇した。 一方で、細胞膜上のHSP70の機能を評価するための「細胞膜局在型HSP70を認識する抗体」作製については、取得したIgM抗体を遺伝子工学的にIgGに変換した。現在、IgG抗体を安定的に発現する細胞株の樹立を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、作製を進めていたシャペロン活性欠失型変異体の発現が弱かったり、組換えアデノウイルスが十分に機能しないといった問題が発生したが研究自体は概ね前に進んでいる。IgMから改変したIgGはIgMに比べて活性が弱いが特異性は担保しており、現在安定発現株の樹立を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
HSP70によって膵癌細胞の遊走能に変化が生じること、細胞間接着の制御が変化していることがわかったことから、それらを展開して解析を進める。まず、マウスの移植モデルを用いて、HSP70が転移の制御に関わることを明らかにする。さらにβ-カテニンの分解制御が細胞間接着や遊走能の変化における主因であるという判断から、HSP70によるβ-カテニンの分解制御の分子機構を詳細に解析する。さらに膵癌患者の病理組織にて関与する分子の発現と患者の予後について解析を進める。 また樹立抗体を細胞培養液に添加したり、腫瘍を移植したマウスに投与することで細胞遊走や転移における細胞外(膜上)HSP70の関与を解析する。
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Research Products
(1 results)