2022 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation of cancer metastasis by molecular chaperone HSP70
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20K07360
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
塩田 正之 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (30381990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 健二郎 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (60597285)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プロテオスタシス / HSP70 / 腫瘍生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までにβ-カテニンがユビキチンプロテアソーム系で分解されていることが明らかになったため、継続して分子機序を解析した。その結果、HSP70欠損細胞ではカゼインキナーゼ1によるリン酸化が抑制されていることがわかった。また、HSP70によるβ-カテニンの分解制御に関わるコシャペロンについて検証した。IP-MS、ウエスタンブロット、候補コシャペロンのノックダウンの結果、HSP70に結合するコシャペロンとしてBAG1、BAG3、HSPB8の関与が示唆された。また、ルシフェラーゼを安定発現した野生型膵がん細胞、HSP70欠損膵がん細胞を作製し、ヌードマウスに皮下移植し転移能の検証を行った。その結果、野生型は腫瘍の腫大を認めたが、HSP70欠損細胞は一定のサイズ以後、腫瘍が縮小し消失したため転移能の評価に至らなかった。また膵癌患者の組織でHSP70およびβ-カテニンの発現量、発現部位を解析したが、両者は有意な逆相関を示さなかった。以上、動物実験、臨床検体によるin vivo解析では、HSP70の転移への関与を明確にできなかった。一方でwound healingアッセイでは、細胞遊走部位での両タンパク質の発現の逆相関を認めた。 一方、細胞膜HSP70抗体は取得したIgMをIgGに改変したところ、細胞からの収量が極めて悪く、十分な抗体量を取得できなかった。そこでIgMのまま機能評価を行った。膵がん細胞の増殖・生存に対する作用を解析したところ、有意差はないものの増殖抑制傾向を示した。また膵がんを皮下移植したゼノグラフトにて抗体投与による抗腫瘍効果を解析したところ、極めて強い抗腫瘍効果を認めた。本件は現在、特許申請に向けた準備を進めている。
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