2020 Fiscal Year Research-status Report
がんの免疫逃避機構を利用したがん免疫治療法の確立に向けた基盤研究
Project/Area Number |
20K07367
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
大栗 敬幸 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (70564061)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ステルスがん抗原 / がん免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスを用いたステルスがん抗原の検討では、マウスがん細胞株を移植したマウスにDNAメチル基転移酵素阻害剤を腹腔内投与することによって、がん組織でのマウスステルスがん抗原遺伝子の発現上昇がリアルタイムPCR法により確認された。腫瘍組織の一部はホルマリン固定後、パラフィンブロックを作成しステルスがん抗原の免疫組織染色を実施する予定であるが、その免疫組織染色方法は現在検討中である。ヒトステルスがん抗原の発現頻度及び共通抗原としての利用可能性を患者由来新鮮がん細胞を用いて検討した。肺がん患者から採取された胸水中に含まれるがん細胞および白血病(急性リンパ性白血病および急性骨髄性白血病)患者から採取された白血病細胞を用いて検討した結果、DNAメチル基転移酵素阻害剤を含む培養液で3日間培養することにより、各種のステルスがん抗原の発現がリアルタイムPCR法により確認された。また、一部の肺がん患者由来の肺がん細胞を免疫不全マウス(BALB/cヌードマウス)に皮内接種した結果、生育速度は遅いながらも生着したことから、DNAメチル基転移酵素阻害剤の腹腔内投与を行なった。その結果、コントロール投与ではステルスがん抗原の発現が認められなかったのに対し、DNAメチル基転移酵素阻害剤を投与したマウスの腫瘍組織ではステルスがん抗原の発現をリアルタイムPCR法により確認することができた。このことから、がん患者においてもDNAメチル基転移酵素阻害剤を投与することにより、ステルスがん抗原の発現上昇が起きることが期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、マウスでのステルスがん抗原の発現検討ができていることと、ヒトのステルスがん抗原検討においては、新鮮がん細胞を用いたステルスがん抗原の発現を確認できている。また、新鮮ヒトがん細胞を免疫不全マウスに移植して作成したPDXモデルにおいてもDNAメチル基転移酵素阻害剤によるステルスがん抗原の発現を確認することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
腫瘍組織を用いたステルスがん抗原の免疫組織染色のプロトコルが未完成であることから、今後はプロトコルを完成させ骨髄検査標本やPDXモデルで得られた腫瘍組織を用いてDNAメチル基転移酵素阻害剤投与によってステルスがん抗原が発現上昇しているかを検討する。
|