2020 Fiscal Year Research-status Report
がん浸潤先進部におけるがん関連線維芽細胞特異的マーカーの同定と機能解析
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20K07370
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
目黒 史織 浜松医科大学, 医学部, 助教 (40724290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩下 寿秀 浜松医科大学, 医学部, 教授 (00283432)
八木 春奈 浜松医科大学, 医学部, 助教 (70837385) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん関連線維芽細胞 / CAF / 線維芽細胞 / 大腸癌 / インテグリンα5 / INTGAV |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、①ヒト大腸がん浸潤先進部のがん関連線維芽細胞(cancer-associated fibroblast: CAF)特異的マーカーの同定、②大腸がんモデルマウスのがん浸潤先進部CAFの機能解析を行いたいと考えている。 がん浸潤先進部と正常組織の境界部では常に新しい創傷治癒が生じている。したがって、創傷治癒の線維芽細胞と筋線維芽細胞に特異的なマーカーを見出せば、それらはがん浸潤先進部CAF特異的マーカーになり得るのではないかと仮説を立てた。我々は、以前、肺ブレオマイシン線維症モデルマウスから、創傷治癒の早期~中期に出てくる線維芽細胞と筋線維芽細胞をFACSを用いて純化することに成功している。そこで、マイクロアレイを使用して、創傷治癒の早期~中期に出てくる線維芽細胞、筋線維芽細胞と正常の肺線維芽細胞の遺伝子発現プロファイルを比較した。創傷治癒の線維芽細胞と筋線維芽細胞に強く発現している74遺伝子を同定し、quantitative RT-PCRによって、創傷治癒の線維芽細胞と筋線維芽細胞に強く発現することを確認した。さらに、Human Protein Atlasを利用し、大腸がん間質における74種類のタンパク質の発現をweb上で1つずつ検討した。すると、18種類のタンパク質が大腸がんの間質に発現していることがわかった。そこで、粘膜下組織まで浸潤しているヒト大腸がん10症例を使用して、18種類のタンパク質に対する抗体で免疫染色を行った。すると、18種類のうちインテグリンα5が、全ての症例において大腸がん浸潤先進部周囲に発現していることが明らかとなった。 インテグリンα5が大腸がん浸潤先進部のCAF特異的マーカーとなることを確認の後、インテグリンα5を用いて大腸がんモデルマウスのがん浸潤先進部CAFの機能解析を行いたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト大腸癌手術材料28例(いずれも漿膜下組織まで浸潤した進行癌:深達度pT3で、組織型は高分化/中分化管状腺癌)のホルマリン固定パラフィン包埋材料で、筋線維芽細胞に強く発現しているであろうと考えられたタンパク質(インテグリンα5、コラーゲンⅧ、ペリオスチン)に対する抗体を用い、免疫染色を行った。 インテグリンα5はすべての症例の浸潤先進部の間質を構成する細胞に発現していたが、浸潤部から離れた腫瘍間質や非腫瘍間質の線維芽細胞では発現が減少していた。また、ペリオスチンは14症例の間質に弱く陽性を示したが、膠原線維にも発現しているようにみえ、浸潤先進部を構成する細胞に特異的な発現は認められなかった。コラーゲンⅧは腫瘍部および非腫瘍部の血管周囲で陽性像がみられたが、腫瘍間質での発現は認められなかった。現在、他の候補のタンパク質に関しても、免疫染色で検討中である。 以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト大腸癌手術材料28例のホルマリン固定パラフィン包埋材料で、その他の候補のタンパク質(コラーゲンXII、Fhl2、LTBP2、テネイシンC)についても免疫組織化学的に発現を検討する予定である。。 インテグリンα5が大腸がん浸潤先進部のCAF特異的マーカーとなることを確認の後、インテグリンα5を用いて大腸がんモデルマウスのがん浸潤先進部CAFの機能解析を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
今年度は主に症例の収集、免疫染色を行っていたために支出が当初の予定よりも少なかったが、次年度以降に論文投稿などで仕様予定である。
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